【株式会社Scale Cloud】最後に笑って死ねる人生を。KPIマネジメントで社会貢献する数字の魔術師
KPIマネジメントプラットフォームSaaS「Scale Cloud(スケールクラウド)」の提供を通じて、組織全体のPDCAに革命をもたらす株式会社Scale Cloudの経営者、広瀬好伸さん。
広瀬さんは大学卒業後、あずさ監査法人に入社し、公認会計士・税理士として幅広く職務に従事。J-SOX法(内部統制報告制度)の誕生に伴い、会計士バブルが到来するなか、会計系のコンサルタントとして起業しました。
その後、会計の領域に限界を感じた広瀬さんは、株式会社ビーワンカレッジ(現:株式会社Scale Cloud)を創業。KPIマネジメントによる業績目標達成の再現性向上を支援するシステムとコンサルティングを融合した「Scale Cloud」を開発・リリースしました。
現在、KPIマネジメントのスペシャリストとして株式会社Scale Cloudを経営している広瀬さんに、起業までの道のりや経営者として大切にしているマインドなどをお伺いしました。
- 広瀬好伸さんのご経歴
- 会計士バブルの渦中で選択した、チャンスのあるフィールド
- ー起業に興味を持たれた時期についてお聞かせください。
- ー実際に、本気で起業しようと思ったタイミングはいつでしょうか?
- 単価と再現性のバランスを考えながら、ビジネスモデルを追求した
- ーKPIマネジメントをビジネスにする前まで、どのようなコンサルティングサービスを提供されてきたのでしょうか?
- ーその新たな一手とは、どのようなビジネスだったのでしょうか?
- 会計の限界を感じて始めた、KPIマネジメントに特化したビジネス
- ーKPIマネジメントにフォーカスしたビジネスを始めた理由をお聞かせください。
- ーKPIマネジメントは企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
- Do-Do-Doだけではなく、PDCAのバランスを考えることが重要
- ー起業に向けた資金調達で苦労した点があればお聞かせください。
- ー起業の成功に向けて必要な準備とは何でしょうか?
- Scale Cloudだからこそ実現できた、KPIマネジメントのニューモデル
- ー日本初のKPIマネジメントプラットフォームSaaS、「Scale Cloud」が誕生した背景をお聞かせください。
- ーScale Cloudはどのようなニーズを満たすサービスでしょうか?
- ーサービスの認知拡大や集客でどのようなポイントに力を入れましたか?
- ーScale Cloudの独自性や強みはどこにあるとお考えでしょうか?
- 世の中に役立つシーズを生み出し、最後は笑って死にたい
- ー起業して良かったことがあればお聞かせください。
- ー経営者としてのご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
- ー経営者に最も必要な要素とは何でしょうか?
- ー起業を目指している読者に対して、メッセージをお願いします。
- 起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
広瀬好伸さんのご経歴
- 2002年:京都大学経済学部卒業後、あずさ監査法人に入社。公認会計士として銀行監査やIPO準備などに従事。
- 2007年:コンサルタントとして起業。CFO/IPO/会計/税務/M&A/企業再生などのコンサルティングに従事。
- 2018年11月:株式会社ビーワンカレッジを創業。
- 2022年6月:株式会社ビーワンカレッジから株式会社Scale Cloudに社名変更。日本初のKPIマネジメントプラットフォームSaaS「Scale Cloud」を開発・リリース。
- 2024年:KPIマネジメントのスペシャリストとして、SaaSとコンサルティングを融合した複合的なサービスを展開中。
会計士バブルの渦中で選択した、チャンスのあるフィールド
ー起業に興味を持たれた時期についてお聞かせください。
起業に興味を持ち始めたのは、中学1年生くらいの頃ですね。「自分が将来何になりたいのか、何をやりたいのか」を漠然と考えていました。
当時利用していた進研ゼミで、色んな職業を列挙して紹介していたページがあったんです。気になる職業にチェックを入れて送ると、その職業の方たちから実際の仕事内容を紹介するレターが届くという企画で、私はチェックを入れまくって沢山レターを集めていました。
まだ中1だったので、仕事の難しい内容よりも給料に関して興味を持ったんです。そこで、特に給料が高かった弁護士と会計士に関心を持ち、「弁護士は人に恨まれそうだし、会計士になろう!」と思ったんですよね(笑)
ー実際に、本気で起業しようと思ったタイミングはいつでしょうか?
京都大学経済学部を卒業したあと、あずさ監査法人という会社に入社しました。その頃から会計士として独立しようと考えていました。
あずさ監査法人には公認会計士として4、5年勤めていたんですが、そのときに会計士バブルが到来したんです。
当時、J-SOX法という、財務報告の信頼性を確保するための内部統制報告制度が誕生して、その業務に会計士が必要とされていました。内部統制の仕事の単価はかなり高くて、1日働くだけで15万円〜20万円くらい貰えたんです。
すでに独立している会計士の先輩方は、バブルの波に乗って報酬が魅力的なその仕事ばっかりやっていました。
会計士の仕事には、IPOやM&A、企業再生などのコンサルティングがあり、内部統制はあくまでその中の一つに分類されます。先輩方が内部統制の方に視線を向けるなか、私は「今なら他の領域に入り込む隙があるんじゃないか?」と考えていました。
会計士のあらゆる業務を経験していたわけではないんですが、たとえ未経験の領域でもやってみたいという気持ちがあったんです。
そこで、CFO、IPO、会計、税務、M&A、企業再生などの領域を担当するコンサルタントとして起業したという背景があります。
単価と再現性のバランスを考えながら、ビジネスモデルを追求した
ーKPIマネジメントをビジネスにする前まで、どのようなコンサルティングサービスを提供されてきたのでしょうか?
最初にやろうと思ったのは、世間的に単価が高い会計系のコンサルティングサービスでした。ただし、単価が高いイコール、属人性が高い仕事だという見方もされています。
このビジネスをどうやって広げていこうか考えたとき、属人性が高い仕事が故に、人材の採用に困ることに気づいたんです。採用から教育、アウトプットとしてのサービス提供に至るまで、再現性が低く、しかも、似たような会計系コンサルファームなどが沢山存在していました。ですから、「今さら参入しても…」と悩んでいました。
そんななか、再現性がもう少し高いビジネスが隣の畑にありました。それが税理士業務です。税理士業務は、会計コンサルティングサービスよりも採用と教育の再現性が圧倒的に高かったので、「じゃあやってみよう」という流れになりました。
税理士コンサルティングサービスを新たに広めていくなか、何社かをM&Aで買収して、一気に会社を大きくすることができました。ただ、想像以上に単価が低いという現実に直面したんです。さらに、採用と教育の再現性も想定より低くて、新たな一手を打たなければならないと考えていました。
ーその新たな一手とは、どのようなビジネスだったのでしょうか?
再現性は低いものの、単価が高いビジネス。再現性が高いものの、単価が低いビジネス。この中間がないのか探していたところ、「業種に特化したCFOコンサルティングサービスがそれに該当するかもしれない」という仮説を立てました。
CFOコンサルティングサービスだけで見ると、再現性が低く単価が高い方になるんです。ただし、業種に特化すれば、どういう人を採用すればいいのか、どういう教育をすればいいのか限定できます。さらに、アウトプットのサービスを提供しやすいというメリットもあります。
税理士と比較しても、CFOコンサルティングサービスは単価が高いですし、業種に特化することでノウハウが蓄積される側面もあるので、これをビジネスにしようという結論に至ったんです。
そして、2018年11月に株式会社ビーワンカレッジを創業、そして2022年6月に株式会社Scale Cloud(スケールクラウド)に社名を変更して、現在はPL管理とKPI管理の一元化で予実管理の精度を高めるKPIマネジメントプラットフォームである、Scale Cloudを提供しています。
会計の限界を感じて始めた、KPIマネジメントに特化したビジネス
ーKPIマネジメントにフォーカスしたビジネスを始めた理由をお聞かせください。
KPIマネジメントをビジネスにしようと思ったのは、会計というものに限界を感じたからです。
ビジネスにおける数字を財務と非財務で分けたとき、財務は会計の数字、非財務はKPIやその他の数字になります。財務の数字の場合、簿記が得意な人でないと、会計から出てくるデータを理解するのはかなり難しいです。
ビジネスにおいて数字が大事なのかと問われると、誰でもYESと答えると思います。でも、数字が大事だと言っておきながら、読めなかったら意味をなさないんです。読める人と読めない人では、組織内でコミュニケーションを取ることが難しく、意思決定にも数字を使えないということになります。会計の数字からは粒度の細かい情報が得られないので、解釈するにも限界があるんです。
たとえば、売上が予算を達成できていなかった場合、契約の単価が低かったり契約数が少なかったりと、原因は色々考えられますよね。でも、会計の数字だけではその原因を特定できません。
データが出てくるのが遅いという点も、会計の数字を活かせない原因の一つです。たとえば、4月の結果の数字が5月の下旬に出てきても、リアルタイム性が低くて使えないですよね。
会計以外の数字をもっと活かすことを考えたとき、非財務の数字、主にKPI(重要業績評価指標)などに着目する必要があります。
会計よりもKPIの適切な管理方法を世の中に広めたほうが、PDCAを回す際や、意思決定をする際に使えるだろうと思い、その方向性でビジネスを進めました。
ーKPIマネジメントは企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
予実管理の精度を上げようと考えたとき、財務の数字だけでは情報の粒度が遅いし粗い、全員がマネジメントに活用できないという3つの欠点があります。KPIの場合、これらの欠点がないんです。
KPIなら、今日の商談数とコンバージョンがすぐにわかるためリアルタイム性もありますし、粒度も細かいです。たとえば、商談数が少ないとなったとき、そもそもリードが取れていないのか、そこから商談につながっていないのかという原因を掘り下げていけます。
KPIを紐づけることが、予実管理の精度を上げる一つの手段であるというのは、10年前にはまだまだ認識されていなかったんです。今では、上場企業や上場を目指す企業なら必ずKPIを追いかけていますが、KPIの使い方が少し違うなと思う部分が個人的にはあります。
Scale Cloudでは、「KPIをもっとこういう風に活用すると良いですよ」という私たちならではのノウハウを、もっと世の中に広く浸透させていきたいと考えています。
たとえば、日本の強みである製造業、ブルーカラーの仕事の場合、第一工程、第二工程、第三工程でバラバラのKPIを管理していたら、めちゃくちゃになってしまいますよね。
ところが、ホワイトカラーの仕事になると、マーケティング、営業、CSといった工程で、別々のKPIをバラバラに追いかけている会社が多いですし、自身の経験と勘を頼りにして、どんぶり勘定になってしまっているビジネスパーソンもなかにはいます。
部分最適にKPI管理をできていても、全体最適に管理できていない会社は、現状でかなり多いです。
Scale Cloudは、そのバラバラなKPIをつなげて、予実管理の精度を高めるソリューションです。KPIを繋げた先に何があるかと言ったら、先ほど触れた財務の数字になるわけです。つまり、予算の達成に向けたプロセスを一気通貫でつなぐお手伝いをするのが、私たちの役目なんです。
Do-Do-Doだけではなく、PDCAのバランスを考えることが重要
ー起業に向けた資金調達で苦労した点があればお聞かせください。
資金調達の方法には、金融機関から借入するデットファイナンスと、株式の発行で投資家から資金を集めるエクイティファイナンスの2種類あります。
会計コンサル業のときの資金調達では、デットファイナンスを利用しましたが、特に苦労することはありませんでした。なぜなら、審査の融資基準になるのが財務の数字、つまり決算書だからです。私たちは決算書を作るプロですし、先行投資がないコンサル業なら赤字になることもないですから、借入できない理由があまりなかったんです。
個人的には、デットで調達できることに越したことはないと思っています。コストを抑えられますから。エクイティのほうは、デットよりも資金調達のプロセスが複雑です。エクイティはお金がかからないと思っている人もいますが、実質的なコストはかなり高いですしね。
財務の数字、決算書の知識がなさすぎる人は、デットで必ず苦労すると思います。完全に税理士任せで決算書を作った場合、変な部分があっても気づけないですし、そうなると審査に通るか危ういですから。
ただ、ここまでの話しはコンサル業に関するもので、Scale Cloudの資金調達に関しては苦労しています。というのも、一般的にSaaSビジネスは先行投資があるので赤字になり、決算書の内容も悪くなるからです。黒字になるコンサル業とは違い、デットの場合は限界があるんですよ。
そこで、デットとエクイティのあいのこのような、資本性ローンという特殊な借入方法を選択しました。
デッドの場合、過去の積み上げてきた決算書、過去の結果を見て審査をします。一方でエクイティの場合、未来への成長可能性をもって出資するか否かを決めています。
資本性ローンの場合、過去と未来の両方の観点で審査をしているので、赤字のScale Cloudでも資金調達をすることができたんです。
ー起業の成功に向けて必要な準備とは何でしょうか?
起業するにあたって私が大事だと思っているのは、数字を軸にして、PDCAをバランス良く高速で回していくことです。
多くの経営者の方が「Do-Do-Doがとにかく大事」と言っていますが、仰るとおりだと思います。仮説(P)、実行(D)、検証(C)、改善(A)を繰り返すPDCAにおいて、Do-Do-Doの先にあるのは検証、そして改善です。PDCAとは言っても、Pの仮説を最後に考える方が多いです。
起業をする際にPから始める場合、一生懸命時間をかけて戦略やビジネスモデルを練る行動って無駄だと思うんですよ。その時点では情報量が少なすぎますし、何もアクションしていないのに絵空事で上手い事業計画書なんて書けるわけがないんです。
Pに関しては、アウトラインの戦略としてある程度考えればいいと思います。とにかく早くDoしてチェックする、そして、次のアクションのためのプランを練り直す、といったサイクルを高速で回していくことが重要なんです。
Scale Cloudだからこそ実現できた、KPIマネジメントのニューモデル
ー日本初のKPIマネジメントプラットフォームSaaS、「Scale Cloud」が誕生した背景をお聞かせください。
Scale Cloudで全体最適なKPIマネジメントを支援するサービスを提供していこうとなったとき、サービス提供の仕方について2種類の選択肢がありました。
一つは、コンサルティングサービスとして提供すること、もう一つは、システムを開発したSaaSビジネスとして提供するというものです。
利益を重視した場合、前者のほうが絶対に儲かると思うんです。コンサル業であれば黒字になりますし、単価も高く、成長が見込めるビジネスになります。
ただ、KPIマネジメントをコンサル業でやるには、労働集約的な制約があるのでサービスの広がりが
遅いだろうと考えていました。弊社では、
KPIの活用を通じて世の中のすべての会社に貢献したいという思いを持っています
から、もっと広く認知させるには、コンサル業に限界があるなと思ったんです。
それならシステム化して、コンサルティングのノウハウも折り込みながら、もっと広がりやすいビジネスモデルを創りたいと思い、プロダクトの開発を始めた背景があります。
ーScale Cloudはどのようなニーズを満たすサービスでしょうか?
ビジネスモデルを考えるとき、基本的にマーケットインかプロダクトアウトかという2種類の発想があります。
マーケットインの場合、顕在的な課題やニーズを解決するために、自社サービスを開発・提供して利益を生み出していきます。
一方でプロダクトアウトの場合、自社のサービスの認知を広めて、世の中に貢献したいという発想のビジネスになります。たとえば、iPhoneの場合、「こういうものがあったらいいよね」という発想のもと、プロダクト先行で世の中に問いかけた形です。
弊社はどちらかと言うと、後者のプロダクトアウトに該当します。
ある会社の営業部長がKPI管理をしていたとして、上手くできているという自覚があるなら「全体最適なKPI管理をしよう」という顕在的なニーズは存在しないんです。ところが、その営業部長に「Scale Cloudで全体最適してみませんか?」と提案すると、「そのサービス良いですね!」という話になるんです。
世の中に常に存在する顕在的なニーズに対してソリューションを当てるだけではなく、潜在的なニーズに対してもアプローチしていくというのが弊社のビジネスです。
ーサービスの認知拡大や集客でどのようなポイントに力を入れましたか?
多くの人たちが、未だにKPIを正しく管理できていると思っているのが現状です。普通のアプローチをしてもなかなか広まらないと思っていて、そこは今でも課題感を持っています。
Scale Cloudの認知拡大に向けたアプローチの一つとして、KPIの全体最適なやり方がわかる「KPI式PDCA」という本を出しました。広告などのマーケティングに関しては、プロであるGMOさんに協力していただいている部分もあります。
他には、経営企画やCxO、上場企業CFOなどをテーマとした交流会や、参加者1,000名規模の経営企画カンファレンスを開催して、弊社の認知を広げる取り組みもしています。
17年という経営経験で築いていたネットワークを活かした交流会、経営企画カンファレンスになっているので、他社には強みになっていると思いますね。
ーScale Cloudの独自性や強みはどこにあるとお考えでしょうか?
厳密に言うと、Scale Cloudと同じKPIマネジメントサービスは今のところ存在しないです。
SaaSだけでは導入、運用が進まないので、コンサルティング要素もプラスしているのが独自性になっています。コンサルティング要素だけ切り離せば、他のコンサルティング企業でもできることはあります。
ツールという観点では、BIツールや予実管理ツールと比べられることがありますが、KPIマネジメントにフォーカスしたツールはScale Cloudだけです。
セールスフォースという世界トップシェアのCRMプラットフォームを例に挙げると、最初の競合は表計算ソフトのExcelだったそうです。感覚的に扱えるツールが存在しなかったので、セールスフォースで実現しようとなったんです。現在は、SFAというマーケットが出来上がって、そのなかでシェアを取っているという形ですね。
Scale Cloudでは、KPIという領域においてセールスフォースのような戦略でシェア獲得ができるだろうと考えています。
競合がいないということは、市場がまだ顕在化していないという見方ができます。ですから、潜在的なニーズを掘り起こして、顕在化することでマーケットをつくっていきたいです。
世の中に役立つシーズを生み出し、最後は笑って死にたい
ー起業して良かったことがあればお聞かせください。
私はサラリーマンとして働くのが無理な人間で(笑)社内政治のもと行動したり、綺麗に資料をつくったり、そういうのが苦手なんですよ。
起業して良かったのは、「自由に働けること」ですね。
ただし、自由という権利があるが故に、意思決定で誤ったら全て経営者の責任になってしまいます。それが経営の面白いところだと思えるなら、経営者に向いていると思います。
KPIマネジメントを始めた理由の一つでもあるんですけど、「広瀬さんって普通だよね」って言われるのが嫌なんですよ。普通って代えが利くという意味にも捉えられますし、自分の存在意義を感じられなくなるんです。
良くも悪くも尖っているほうが良いと思っています。ビジネスをやるにも、他がやっていることはやりたくないんですよね。会計系のコンサルファームをつくるのを止めた理由もそうですね。自分たちにしかできないことで良いことをしたい、という思考がかなり強いです。
尖ったことを何かしようと考えたとき、組織に属しているとできることが限られてますし、だからこそ起業する意味があると思っています。
ー経営者としてのご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
Scale Cloudが世の中にどんどん広がっていくことは、新たな経営の仕方が未来に根付いていくことだと思っています。そして、それに携わる人たちの数字のリテラシーが高まっていくことを理想としています。社会全体の数字のリテラシーを高めたいというのは、私の中での裏ミッションでもあるんです。
皆さんの私生活のなかで、数字で判断しなければならないシーンは沢山あります。保険関連や、投資商品、住宅ローンなど、これは全て数字に関わるものです。数字に強くなるイコール、お金に強くなるという意味でもあります。社会全体の数字のリテラシーを底上げして、皆さんのお役に立ちたいですね。
ー経営者に最も必要な要素とは何でしょうか?
それは「哲学」ですね。
会社って、良くも悪くも経営者次第なところが多いんです。数字の話もそうですけど、社長が数字に細かい人間なら、社員も細かく数字を管理できるようになります。逆に社長がどんぶり勘定しているなら、数字に弱い組織になってしまいます。
経営者次第という言葉を突き詰めると、その人の哲学につながるわけです。
「自分の考え方や価値観などの芯を常に持っておきたい」という意識はかなり強いです。この芯が曲がってしまうと、人を騙してでも利益を優先しようという感情が生まれてしまうわけです。
経営者としての考え方や価値観がしっかりしていれば、社員もついてきてくれますし、ビジネスも良い方向に進んでいくと考えています。
ー起業を目指している読者に対して、メッセージをお願いします。
起業したいと思っているなら、チャレンジをしない理由はないと思います。仮に失敗しても、サラリーマンやOLなどの選択肢はいっぱいありますから。
起業して何をやるのかも重要です。せっかくやるのであれば、社会にとって本当に良いことにチャンレジしましょう。こういう思想の人が増えてくることで、世の中は絶対に良くなっていきますから。
起業の先に、「笑って死ねるかどうか」を考えてみてください。これは価値観につながる話でもありますが、経営者になってお金持ちになっただけでは、笑って死ねる人は少ないと思います。
実は、25歳くらいのとき、アナフィラキシーショックで意識不明になり、死にかけたんです。その経験から「人間なんていつ死ぬかわからない」と考えるようになり、死生観も強くなりました。
たとえば、死ぬ時に100億の資産があったとして、笑って死ねるかと言ったらそうではないなと思いました。葬式に沢山の人が来て悲しんでくれたらいいか、それも違うなと。
何十年と仕事をするなかで、自分たちにしかできないことができた、それが世の中の役に立った、というところを目指しているんです。それが刹那的ではなく、永続的に役に立ち続けられるシーズを世の中に生んでいけたら、私は笑って死ぬことができるでしょう。
どこかで聞いた「生きてるだけで丸儲け」という言葉があるように、起業で失敗しても死ぬわけではありません。これから起業を目指す皆さんには、「失敗してもかすり傷で済むんだ」という気持ちで、何事にもチャレンジしてもらいたいですね!
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起業には個人事業主としての開業と会社設立の2種類があり、事業形態に合わせて選ぶことが大切です。また、起業のアイデアをまとめたり、事業計画書を作成したりといった起業の流れを把握し、十分な準備を整えるようにしてください。
一度起業すると、資金や従業員の管理、納税など多くの責任を負わなければなりません。過去の成功事例も参考にしながら、自分なりのビジネスを展開できるよう起業アイデアを練ってみましょう。
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