会社設立の発起人とは?会社法に基づく役割・人数・要件・必要書類の実務ガイド【2026年最新】
会社設立を進める中で「発起人(ほっきにん)」という言葉に立ち止まる方は少なくありません。
誰がなれるのか、何人必要か、取締役や株主と何が違うのか――会社法に基づき発起人の役割・人数・要件・責任・必要書類を整理します。
1人で設立する場合と共同で設立する場合の判断軸、印鑑証明書の取得タイミング、電子定款の署名フローまで、実務の現場で迷いやすい論点に絞ってご案内します。
- 【この記事のまとめ】
- 発起人とは会社設立を企画して定款を作成・出資・設立時役員選任を行う中心人物で、会社法第25条に基づき1人以上いれば設立でき、出資履行後は設立時の株主となります。
- 複数発起人の場合は普通決議(過半数)・特別決議(3分の2以上)の分水嶺を踏まえた議決権比率の設計が重要で、50対50の均等分割はデッドロックの典型例として創業株主間契約による対策が推奨されています。
- 発起人の印鑑証明書は発行から3か月以内のものが必要で、電子定款を活用すれば印紙税4万円を節約できるため、定款認証の1週間前を目安に取得スケジュールを逆算して準備することが推奨されています。
結論:発起人とは「会社を設立しようと言い出した出資者」のこと
最初に結論からお伝えします。発起人とは、会社設立を企画し、定款を作成し、出資を行い、設立時の役員を選任する中心的な人物のことです。会社法第25条に基づき、株式会社は発起人1人以上で設立できます(出典:e-Gov「会社法」https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 )。
整理すると、発起人が担う中心的な役割は次の3つです。
- 定款を作成して公証役場で認証を受ける
- 出資金を払い込む(設立時発行株式を引き受ける)
- 設立時取締役などの設立時役員を選任する
株主は「会社の出資者として議決権を持つ人」、取締役は「会社の業務執行を担う役員」を指します。発起人はこの両方の入り口に立つ人物であり、出資の履行を終えた時点で設立時の株主にもなります(会社法第50条第1項)。

【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】
「発起人=とりあえず社長になる人」と理解されている方が多いのですが、正確には『会社を作ろうと言い出し、最初の出資をする人』です。私の事務所には年1,000件ほどの無料相談が寄せられますが、発起人と取締役の関係を最初に整理しておくと、その後の議事録作成や登記申請まで一気通貫でスムーズに進む傾向があります。
発起人の定義と他のステークホルダーとの違い
ここでは発起人の法的な位置づけと、株主・取締役・出資者との違いを順番に整理します。混同しやすい論点ですが、定款作成や登記申請でつまずかないために、最初に押さえておくと安心です。
発起人の法的定義(会社法第25条・第26条)
会社法第25条は、株式会社の設立方法として「発起設立」と「募集設立」の2種類を定めています。いずれの方法でも、定款を作成して公証役場の認証を受ける役割を担うのが発起人です。会社法第26条第1項では「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない」と規定されています(出典:e-Gov「会社法」https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 )。
会社法第27条は、定款に必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)として、目的・商号・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額または最低額・発起人の氏名または名称および住所を挙げています。つまり、発起人の氏名と住所は定款に必ず書かれる情報であり、後述の通り公開対象になる可能性がある点には注意が必要です。
発起人 vs 設立時取締役 vs 株主 vs 出資者の違い
混同されやすい用語の関係を表で整理します。
| 立場 | タイミング | 主な役割 | 必要書類(代表例) | 兼任の可否 |
|---|---|---|---|---|
| 発起人 | 設立準備〜登記申請 | 定款作成・出資・設立時役員選任 | 印鑑証明書(発行3か月以内)・実印 | 取締役・株主と兼任可 |
| 設立時取締役 | 発起人による選任〜設立登記 | 出資履行の調査・登記後の業務執行準備 | 就任承諾書・印鑑証明書 | 発起人と兼任可 |
| 株主 | 出資履行完了後 | 株主総会での議決権行使 | (設立時は発起人=株主に) | ― |
| 出資者 | 出資の意思表示〜履行 | 金銭または現物の払込 | 払込証明書類 | 発起人と一致するのが原則 |
実務上は、1人で会社を設立する「ひとり会社」の場合、発起人・設立時取締役・出資者・株主のすべてを同じ人物が担うのが一般的です。

株主と発起人の関係(出資の履行で発起人=設立時の株主になる)
会社法第34条は、発起人が引き受けた設立時発行株式について、遅滞なくその全額を払い込まなければならない旨を定めています。この出資の履行を完了した時点で、発起人は設立時の株主としての地位を取得します。
一般的には、設立後すぐの株主名簿には発起人の氏名と引受株式数が記載され、議決権を行使できる立場になります。設立後の事業運営は取締役(および取締役会)が担いますが、株主としての権利は引き続き発起人本人が持ち続けることになります。
発起人は何人必要か?――1人でも設立できる根拠と複数の場合の判断軸
「会社を作るには発起人が複数人必要」と聞いたことがあるかもしれません。これは平成18年(2006年)の会社法施行前の旧商法の名残です。現行の会社法では、株式会社・合同会社ともに発起人1人から設立できます。
結論:会社法第25条に基づき発起人は1人以上で設立可能
会社法第25条第2項には「各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない」とあり、発起人の人数下限は定められていません。法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」でも、1人発起人・1人取締役のいわゆる「ひとり会社」の設立が想定されています(出典:法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html )。
平成18年5月の会社法施行以前は、株式会社の設立には7人以上の発起人が必要でした。そのため、当時設立された会社の登記簿には複数の名前が並んでいることがあります。現在は1人で設立可能なため、旧情報を引きずらないよう注意してください。
1人で発起人になるメリット・デメリット
1人発起人のメリット・デメリットを整理します。
メリット
- 意思決定が早い(株主総会の決議要件を100%自分で満たせる)
- 創業株主間契約(後述)が不要
- 設立費用・印鑑証明書の取得通数が最小限で済む
デメリット
- 客観的な意思決定の機会が乏しくなる
- 将来の資金調達・事業承継時に株式の集中が論点になることがある
- すべての出資金を自己資金で用意する必要がある
【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】
私の事務所では、創業期に1人発起人で設立し、3年目以降に共同経営者を株主として迎えるご相談を月数件いただきます。最初から無理に複数発起人にする必要はありません。「とりあえず1人で立ち上げて、後から信頼できる仲間に株式を渡す」流れは、創業期のオーナー経営者にお伝えしている定番のアプローチの一つです。
複数発起人にする場合の判断軸(家族・共同創業者・出資者)
家族・共同創業者・エンジェル投資家を発起人として迎える場合は、議決権の分水嶺を意識して持分比率を設計してください。一般的には次の3つの数字が判断軸になります。
- 過半数(50%超):取締役の選任・解任など普通決議の要件
- 3分の2以上:定款変更・組織再編など特別決議の要件(会社法第309条第2項)
- 3分の1超:特別決議への拒否権
「夫婦で半々」「兄弟で半々」といった50:50は、意思決定のデッドロックを生む典型例です。一般論として、創業期は意思決定を主導する1人が3分の2以上を保有し、他の発起人は3分の1以下にとどめる設計が、特別決議の機動力を保ちやすいとされています。実際の比率設計は事業計画やパートナーの貢献度によって異なるため、弁護士や司法書士への相談を推奨します。
発起人の資格・要件――誰が発起人になれるのか
会社法は発起人の積極的な資格規定を置いていません。一般的には年齢・国籍・職業を問わず幅広い方が発起人になれますが、いくつかの実務的な注意点を整理します。
個人発起人の要件
- 年齢:会社法上の年齢制限はありません。ただし未成年者の場合、定款認証や登記申請で親権者の同意書を求められるのが一般的です(民法第5条に基づく未成年者の法律行為の制限と整合)。
- 国籍:日本国籍は要件ではありません。外国籍の方も発起人になれます(後述の宣誓供述書で印鑑証明書を代替)。
- 意思能力:成年後見人が選任されている場合などは、個別判断が必要です。
- 自己破産者・反社会的勢力:法律上、自己破産者の発起人資格は制限されていませんが、許認可を要する業種では事業遂行上の支障になる場合があります。反社会的勢力との関係は許認可・金融機関との取引で明確に排除されるため、定款や事業計画作成時に注意が必要です。
法人が発起人になる場合の制約
法人も発起人になることができます。一般的には親会社が子会社を設立するケースや、グループ再編で持株会社が新会社を設立するケースで用いられます。
ただし、法人発起人の場合は、設立する会社の事業目的が法人発起人の事業目的と関連性を持つことが望ましいとされる実務運用があります。これは法人格濫用の回避や、定款認証時の公証人の確認を踏まえたものです。法人発起人を予定する場合は、司法書士・弁護士に事前確認することを推奨します。
外国籍の方が発起人になる場合の宣誓供述書
外国籍の方が発起人になる場合、日本の市区町村役場で印鑑登録ができないため、印鑑証明書を取得できません。一般的には、本国の在日大使館(領事館)または公証人役場で作成する「サイン証明書」または「宣誓供述書」を、印鑑証明書の代替として使用します。
日本国内に住所登録(中長期在留者等)がある外国籍の方は、市区町村で印鑑登録が可能なケースもあります。状況によって扱いが異なるため、行政書士または司法書士への相談を推奨します。
発起人の主な役割を5ステップで整理する
発起人が会社設立に向けて行う実務を、5つのステップに分けて整理します。

ステップ① 定款の作成と認証(会社法第26条・第30条)
発起人全員が署名または記名押印した定款を作成し、公証役場で認証を受けます。絶対的記載事項として、目的・商号・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額または最低額・発起人の氏名(または名称)および住所が必要です(会社法第27条)。
電子定款を選ぶと、紙定款で必要な印紙税4万円が不要になります。マイナンバーカードとICカードリーダー(または対応スマートフォン)を使い、発起人全員が電子署名を行います。日本公証人連合会のテレビ電話による認証制度を活用すれば、公証役場に出向かずに認証を受けることも可能です(出典:日本公証人連合会 https://www.koshonin.gr.jp/ )。
ステップ② 出資の履行(会社法第34条)
定款認証後、発起人は引き受けた株式に対する払込を行います。会社法第34条第2項により、発起人は発起人代表者(または定款で定めた払込取扱機関)の銀行口座に出資金を払い込みます。
設立登記前は法人口座を開設できないため、一般的には発起人代表者の個人口座に発起人全員が振り込みを行い、その通帳コピーを「払込みがあったことを証する書面」として登記申請に添付します(出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html )。
ステップ③ 設立時役員の選任(会社法第38条・第39条)
発起人は、出資の履行が完了した後に設立時取締役(および必要に応じて設立時監査役)を選任します。発起人が複数の場合は、議決権の過半数で決定するのが原則です(会社法第40条第1項・第2項)。1人発起人なら自分自身を設立時取締役に選任することができます。
ステップ④ 発起人決定書・発起人会議事録の作成
発起人が決定した本店所在地(定款で番地まで定めていない場合)、公告方法、設立時取締役の選任などを書面化します。発起人が1人の場合は「発起人決定書」、複数の場合は「発起人会議事録」を作成し、登記申請の添付書類として法務局へ提出します。
ステップ⑤ 設立登記申請(法務局)
最後に、本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。申請日が会社の設立日となり、登記完了後に登記事項証明書を取得できます(出典:法務局「株式会社設立登記申請書(発起設立)記載例」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/syougyou_tenpu_kabu_01.html )。
登記申請には登録免許税15万円(または資本金額×0.7%のいずれか高い方)が必要です。資本金が約2,143万円を超える場合は資本金×0.7%が適用されます。
発起人の責任――会社法第52条・第53条・第56条が定めるリスク
発起人は会社設立の中心的役割を担うがゆえに、会社法上いくつかの責任を負います。リスクを正しく理解しておくことで、後日のトラブルを避けられます。
会社不成立時の連帯責任(会社法第56条)
会社法第56条は、株式会社が成立しなかった場合、発起人はその設立に関してした行為について連帯して責任を負い、設立に関して支出した費用を負担することを定めています。具体的には、定款認証手数料・登録免許税・専門家への報酬などが該当します。
設立に至らないケースは多くありませんが、定款の不備や登記書類の重大な瑕疵で登記申請が却下された場合などに発生し得るため、書類のチェックを丁寧に行うことが重要です。
現物出資の差額補填責任(会社法第52条)
金銭以外の財産(不動産・車両・PCなど)を出資する「現物出資」を行った場合、会社法第52条は、出資された財産の価額が定款記載額に著しく不足するとき、発起人および設立時取締役が連帯して不足額を支払う責任を負うと定めています。
500万円を超える現物出資を行う場合は、原則として裁判所が選任する検査役の調査が必要です(会社法第33条)。一般的には、評価額の客観性確保のために弁護士・税理士・公認会計士等の証明を活用する手続きが用意されています。
任務懈怠による損害賠償責任(会社法第53条)
発起人が任務を怠ったことにより会社に損害を与えた場合、発起人は会社に対して損害賠償責任を負います(会社法第53条第1項)。また、悪意または重大な過失で第三者に損害を与えた場合は、第三者に対しても責任を負います(同条第2項)。
発起人の責任を抑えるためのチェックポイント
- 現物出資は500万円以下に抑えるか、必要な評価手続きを踏む
- 設立スケジュールに余裕を持ち、定款・登記書類のダブルチェックを行う
- 発起人代表者の個人口座への払込日・金額を発起人全員で正確に把握する
- 設立時役員の選任議事録に発起人全員が押印する
【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】
私の事務所では、創業期に「自分の所有する自動車を現物出資したい」というご相談を年に十数件いただきます。市場価格が変動しやすい資産は、定款記載額より実際の評価が下がるリスクがあります。一般論として、創業期は金銭出資を基本に、現物出資は本当に必要な範囲にとどめることをおすすめしています。
発起人が複数の場合の議決権比率設計と創業株主間契約
ここからは、競合記事の多くがあまり触れない「複数発起人の議決権設計と創業株主間契約」を実務目線でお伝えします。
議決権比率の3つの分水嶺(過半数・3分の2以上・3分の1超)
株主総会の決議要件は、会社法第309条で次のように整理されています。
- 普通決議:議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の過半数で決議(取締役の選任・解任、計算書類の承認など)
- 特別決議:議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上で決議(定款変更、組織再編、募集株式発行、解散など)
ここから導かれるのが、創業時に意識しておきたい3つの分水嶺です。
| 比率 | 意味 | 主な決議事項 |
|---|---|---|
| 過半数 | 普通決議の単独可決 | 取締役の選任・解任、配当の決定 |
| 3分の2以上 | 特別決議の単独可決 | 定款変更、組織再編、解散 |
| 3分の1超 | 特別決議への拒否権 | 重要事項を単独で阻止できる |

共同創業者・配偶者を発起人にするときの典型トラブル
複数発起人のご相談で頻出するトラブルは、おおむね次の3パターンです。
- 50:50デッドロック:夫婦・兄弟・友人で半々にした結果、特別決議も普通決議も単独では成立せず、意思決定が止まる
- 離脱メンバーの株式回収困難:発起人の1人が早期に離脱しても、株式買戻し条項を設けていなかったため、登記簿に名前が残り続ける
- 配偶者株主の離婚リスク:配偶者を発起人にした後、離婚時に株式の財産分与が論点になる
創業株主間契約(Founders Agreement)の重要性
このようなリスクを避ける一般的な実務として、発起人間で「創業株主間契約」を締結する方法があります。代表的な条項は次の通りです。
- ベスティング条項:一定期間の就労継続を条件として株式を段階的に確定させる
- 退任時の買戻し条項:退任した発起人の株式を会社または他の発起人が買い戻せる
- 先買権(First Refusal Right):第三者への譲渡前に他の発起人が優先的に買い取れる権利
- 株式譲渡制限:発起人全員の同意なく株式を第三者へ譲渡できない
契約条項の内容や効力は事案ごとに異なります。具体的な作成にあたっては弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。
【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】
夫婦半々の発起人構成で議決権デッドロックに陥り、相談に来られるご夫婦は年20件ほどいらっしゃいます。会社法第309条の特別決議が3分の2以上である意味を、設立前に必ず確認してください。一般論として、創業期は1人を主導者として3分の2以上を保有し、他の発起人と創業株主間契約を結ぶ流れが安心です。
発起人が用意すべき必要書類と発行期限チェックリスト
発起人として実際に動き始めると、書類の準備が想像以上に煩雑です。発起設立の場合に必要な書類を整理します。
発起人個人が用意する書類(発起設立の場合)
- 印鑑証明書:発行から3か月以内のもの。市区町村役場・コンビニ交付・マイナポータル経由などで取得可能
- 実印:印鑑登録した個人の実印(公証役場での定款認証時に押印)
- 本人確認書類:運転免許証・マイナンバーカードなど
- 出資金払込用の個人口座通帳:発起人代表者の個人口座(払込証明書類として通帳コピーを使用)
発起設立 vs 募集設立で必要書類はどう変わるか
発起設立と募集設立では、必要書類のボリュームが大きく異なります。
| 項目 | 発起設立 | 募集設立 |
|---|---|---|
| 株式引受者 | 発起人のみ | 発起人+一般募集者 |
| 創立総会 | 不要 | 必要 |
| 印鑑証明書 | 発起人全員1通ずつ | 発起人+設立時取締役(さらに引受人の追加書類) |
| 主な追加書類 | ― | 創立総会議事録・株式申込証・払込取扱機関の払込金保管証明書 |
| 一般的な所要期間の目安 | 約2〜3週間 | 約1〜2か月 |
小規模に始める個人事業の法人化では発起設立を選ぶのが一般的です。募集設立は手続きが複雑で時間もかかるため、外部投資家から広く資金を集める必要がある場合に限定して検討します。
印鑑証明書の発行タイミング――取り直しを避ける逆算スケジュール
印鑑証明書は発行から3か月以内のものでなければ、定款認証や登記申請で使用できません。手戻りを避けるため、次のタイミングで取得するのが安全です。
| タイミング | アクション | ポイント |
|---|---|---|
| 定款認証の1週間前 | 印鑑証明書を取得 | 認証当日に有効期間内であること |
| 登記申請の直前 | 必要に応じて取り直し | 登記申請時点で3か月以内 |
| マイナンバーカード保有者 | コンビニ交付(200〜300円) | 土日・夜間も取得可能 |

電子定款の場合の発起人電子署名フロー
電子定款を採用する場合は、発起人全員が次の準備を整える必要があります。
- マイナンバーカードを取得し、署名用電子証明書のパスワードを把握する
- ICカードリーダーを用意する(マイナンバーカード対応スマートフォンでも代替可)
- 電子定款作成ソフトまたは行政書士の代行サービスを利用する
- 発起人全員が電子署名を行い、公証役場で認証を受ける
電子定款にすることで、紙定款で必要な収入印紙4万円が不要になります(出典:日本公証人連合会「電子定款の認証」https://www.koshonin.gr.jp/ )。マイナンバーカードを未取得の発起人がいる場合は、紙定款の選択や行政書士への代行依頼も検討してください。
発起設立と募集設立の違い――小規模会社なら発起設立を選ぶのが一般的
会社法第25条は、株式会社の設立方法として「発起設立」と「募集設立」の2種類を定めています。両者の違いを整理します。
| 比較項目 | 発起設立 | 募集設立 |
|---|---|---|
| 株式の引受 | 発起人のみが全株を引き受ける | 発起人と一般募集者が引き受ける |
| 創立総会 | 不要 | 必要(会社法第65条以下) |
| 払込金の取扱 | 発起人代表者の個人口座でOK | 払込取扱機関の保管証明書が必要 |
| 一般的な手続き難易度 | 比較的シンプル | 複雑 |
| 主な利用シーン | 個人事業の法人化、ひとり会社 | 創業時から外部出資者を広く募る場合 |
| 一般的な所要期間の目安 | 約2〜3週間 | 約1〜2か月 |
中小企業や個人事業の法人化では、ほぼすべてのケースで発起設立が選ばれています。法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」でも、創業期の標準形として発起設立が想定されています(出典:法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html )。
発起人決定後の動線――誰に何を頼むか(士業の使い分け)
発起人構成が決まったら、定款作成・登記申請・税務届出など、複数の士業領域にまたがる手続きを進めることになります。それぞれの士業に独占業務があるため、依頼先を間違えると違法な代行依頼になってしまうリスクがあります。

司法書士の独占業務――登記申請の代行
司法書士法第73条は、登記または供託に関する手続について代理する業務を司法書士の独占業務と定めています(出典:e-Gov「司法書士法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197/20220901_501AC0000000071 )。会社設立登記の申請書類の作成・申請代行は司法書士に依頼します。
行政書士の独占業務――定款・許認可申請書類の作成(2026年1月改正対応)
行政書士法第1条の2は、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成代行を行政書士の独占業務と定めています。会社の定款作成も含まれます。
2026年1月施行の改正により、いかなる名目(コンサルティング料・手数料等)であっても、報酬を得て書類作成を代行する行為は行政書士の独占業務であることが明文化されました。両罰規定も強化され、無資格者に依頼した側にも罰則が及ぶ場合があります(出典:総務省「行政書士制度」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/gyouseishoshi/index.html )。
税理士の独占業務――税務署届出・節税アドバイス
税理士法第2条は、税務代理・税務書類の作成・税務相談を税理士の独占業務と定めています。会社設立後に必要な「法人設立届出書」「青色申告承認申請書」「給与支払事務所等開設届出書」などの税務署提出書類の作成代行や、節税の個別アドバイスは税理士に依頼します(出典:国税庁「法人設立届出書」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_15.htm )。
これらは原則として設立後2か月以内の提出が必要です。
社会保険労務士の独占業務――年金事務所・労基署届出と助成金
社会保険労務士法第2条は、労働社会保険諸法令に基づく書類作成・提出代行、労務管理に関する相談を社労士の独占業務と定めています。法人設立後は健康保険・厚生年金保険新規適用届の提出が必要で、提出期限は事実発生から5日以内です(出典:日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/ )。
厚生労働省所管の雇用関係助成金(雇用調整助成金・キャリアアップ助成金など)の申請代行も社労士の独占業務です。
1つの窓口で完結させたい場合の選択肢
「税理士・社労士・行政書士をそれぞれ探して個別に依頼するのは大変」と感じる方も多いでしょう。一般的な選択肢として、複合資格を持つ事務所や、複数の士業が同じ事務所で連携する「ワンストップ型サポート」を活用する方法があります。
たとえば税理士法人V-Spirits(V-Spiritsグループ)の中野裕哲氏は、税理士・特定社会保険労務士・行政書士・CFP・起業コンサルタントの5資格を保有しており、定款作成(行政書士)・税務署届出(税理士)・社会保険手続き(社労士)を一括して相談できる体制を整えています。DREAMGATE(経済産業省後援)面談相談件数12年連続全国1位の実績があり、起業の窓口 byGMO経由で1時間の無料相談から利用できます(出典:起業の窓口 byGMO https://kigyo.gmo/about/ )。
依頼先の選択は事業内容や費用感によって異なります。複数の事務所を比較した上でご判断ください。
会社設立にかかるコストとGMOグループのインフラ活用例
発起人の役割と並行して気になるのが、会社設立にかかる実費です。一般的な目安と、GMOグループのインフラを活用した節約例をご紹介します。
株式会社設立の標準的なコスト目安
| 費用項目 | 一般的な金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 15万円〜 | 資本金×0.7%か15万円のいずれか高い方 |
| 定款認証手数料 | 3〜5万円 | 資本金額に応じて段階別 |
| 定款印紙税 | 4万円(紙定款のみ) | 電子定款なら0円 |
| 印鑑証明書発行手数料 | 数百円×通数 | 市区町村ごとに異なる |
| 法人印鑑作成費用 | 1〜2万円程度 | 実印・銀行印・角印の3点セットが一般的 |
| 合計目安 | 約20〜25万円 | 電子定款・合同会社選択でさらに削減可能 |
正確な金額は設立する会社の資本金や形態によって異なります。あくまで一般的な目安としてご参照ください。
バーチャルオフィス活用――発起人の自宅住所を登記簿に出さない選択肢
会社の本店所在地は登記簿に記載され、誰でも閲覧できる情報になります。一般的に、自宅住所をそのまま本店所在地として登記すると、取引先・顧客・閲覧者に住所が公開されることになります。
GMOオフィスサポートは月1,650円(月1転送プラン・税込)から、東京・大阪・名古屋・福岡など全国17拠点以上の住所を法人登記に利用できるバーチャルオフィスを提供しています。入会金・保証金は0円で、初期費用を抑えながら都心の住所で登記することが可能です(出典:GMOオフィスサポート https://www.gmo-office.com/price/ )。
会社設立印鑑セット――発起人代表者印(実印)の準備
会社設立後は法人実印・銀行印・角印の3点セットを使い分けるのが一般的です。法務局への印鑑届出書には法人実印を押印します。GMOオフィスサポートでは会社設立時に必要な印鑑セットを送料無料で提供する特典があり、設立準備期間中の手配がスムーズです(出典:GMOオフィスサポート https://www.gmo-office.com/service/ )。
発起人個人口座から法人口座への資金移管
出資金は発起人代表者の個人口座に払い込むため、設立登記後はその資金を法人口座へ移す流れになります。法人口座は事業の信用に直結する基盤です。
ネット銀行の法人口座は、最短即日で開設できる審査スピードと、他行宛振込手数料143円(税込)/件の業界最安水準が特徴です。設立1年未満の法人には他行宛振込手数料が月20回無料になる特典があり、創業期のキャッシュフロー管理を支えます。
.co.jpドメインの取得――登記後の信用づくり
.co.jpドメインは登記済みの日本法人のみが取得でき、1法人につき1ドメインのみという希少性があります。法人専用ドメインを名刺・Webサイト・請求書に記載することは、取引先や金融機関への信用づくりに役立ちます。お名前.com経由で取得手続きが可能です(出典:お名前.com「.co.jpドメイン」https://www.onamae.com/service/domain/cojp/ )。
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1時間で全体像を整理する無料相談――起業の窓口 byGMO経由のV-Spirits
「発起人構成を1人にするか共同にするか」「電子定款にするか紙定款にするか」「公庫融資や補助金は活用できるか」――これらを別々の士業に相談すると、それぞれ初回有料カウンセリングで合計数万円かかることも珍しくありません。
起業の窓口 byGMO経由で利用できる税理士法人V-Spiritsの「1時間無料相談」では、税理士・特定社労士・行政書士・CFP・起業コンサルタントの5資格を保有する中野裕哲氏(およびV-Spiritsチーム)に、発起人構成・電子定款・公庫融資・補助金活用・社会保険加入のタイミングまでをまとめて相談できます。DREAMGATE(経済産業省後援)の面談相談件数で12年連続全国1位の実績があり、年間相談件数は約1,000件にのぼります(出典:V-Spirits「選ばれる理由」https://v-spirits.com/reason )。
【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】
「1人発起人で行くか、配偶者を入れるか迷っている」というご相談に1時間で結論を出し、その日のうちに電子定款の準備を始め、当月中に設立登記まで到達されたケースは少なくありません。完璧に整ってから動くより、まず1時間で全体像を整理してから動くほうが、結果的に手戻りが減ります。
発起人に関するよくある質問
Q1. 発起人は1人だけでも会社を設立できますか?
A. 設立できます。会社法第25条に基づき、株式会社は発起人1人以上で設立可能です。平成18年の会社法施行前は7人以上の発起人が必要でしたが、現行法では制限がなく、1人発起人・1人取締役の「ひとり会社」が一般的に運用されています。
Q2. 発起人と取締役は兼任できますか?
A. 兼任できます。むしろ1人で会社を設立する場合は、発起人=設立時取締役として自分自身を選任するのが一般的です。複数発起人の場合も、全員または一部が設立時取締役を兼任するケースが多く見られます。
Q3. 発起人を後から追加・変更することはできますか?
A. 設立登記が完了した後は「発起人」という地位は消滅し、出資の履行を終えた発起人は「株主」となります。新たに株主を追加する場合は、増資(募集株式の発行)や株式譲渡などの方法を取ることになります。発起人の追加自体は原則としてできないため、設立前の段階で慎重に検討してください。
Q4. 発起人の住所・氏名は登記簿に載りますか?
A. 発起人の氏名・住所は定款に記載されますが、登記事項証明書(登記簿謄本)には記載されません。一方、設立時取締役の氏名は登記簿に記載され、代表取締役の場合は住所も記載されます。発起人と設立時取締役を兼任する場合は実質的に公開される点に注意してください。
Q5. 発起人の印鑑証明書は何通必要ですか?
A. 一般的に発起設立では、発起人全員の印鑑証明書を各1通ずつ用意します。発起人と設立時取締役を兼任する場合は、登記申請用に追加で必要となるケースがあります。発行から3か月以内のものに限られるため、定款認証の1週間前を目安に取得するのが安全です。
Q6. 法人を発起人にすることはできますか?
A. できます。一般的には親会社が子会社を設立する場合や、グループ再編で持株会社を設立する場合に用いられます。法人発起人の場合、設立する会社の事業目的が法人発起人の事業目的と関連性を持つことが望ましいとされる実務運用があるため、司法書士や弁護士への事前相談を推奨します。
Q7. 発起人が複数の場合、株式比率はどう決めればいいですか?
A. 一般論として、特別決議(定款変更・組織再編等)が3分の2以上、普通決議(取締役の選任等)が過半数で成立することを踏まえ、主導する1人が3分の2以上を保有する設計が機動力を保ちやすいとされています。具体的な比率は事業計画やパートナーの貢献度によって異なるため、創業株主間契約の作成も含めて弁護士・司法書士への相談を推奨します。
Q8. 発起設立と募集設立はどちらを選ぶべきですか?
A. 個人事業の法人化や創業期の小規模会社では、ほぼすべてのケースで発起設立が選ばれています。創立総会が不要で書類の量も比較的少なく、手続きがシンプルです。創業時から外部出資者を広く募る必要がある場合に限り、募集設立を検討します。
Q9. 発起人の出資金は発起人個人の口座でいいのですか?
A. 設立登記前は法人口座を開設できないため、発起人代表者の個人口座に発起人全員が振り込みを行うのが一般的です。通帳の表紙・該当ページのコピーを「払込みがあったことを証する書面」として登記申請に添付します。設立登記完了後、速やかに法人口座を開設して資金を移管します。
Q10. 電子定款で発起人が遠方にいる場合の対応は?
A. 電子定款の発起人電子署名はマイナンバーカードと対応端末があれば自宅から行えます。日本公証人連合会のテレビ電話による認証制度を利用すれば、公証役場に出向かずに認証を完了することも可能です。詳細は最寄りの公証役場または日本公証人連合会のWebサイトをご確認ください。
まとめ:発起人を決めたら次の3アクション
ここまで、会社設立における発起人の役割・人数・要件・責任・必要書類を、会社法の条文を引用しながら整理しました。最後に、次の3つのアクションをご提案します。
- 印鑑証明書の取得スケジュールを今週中に設定する:発行から3か月以内に定款認証・登記申請を完了させる前提で、いつ・どこで取得するかをカレンダーに登録してください。
- 電子定款にするか紙定款にするかを決める:マイナンバーカードを保有する発起人だけで構成できるなら、印紙税4万円が不要になる電子定款が有力です。
- 無料相談で発起人構成と定款の事業目的を専門家にチェックしてもらう:発起人構成・議決権設計・事業目的の文言は、後から変更すると登録免許税3万円が再度必要になります。起業の窓口 byGMO経由のV-Spirits 1時間無料相談などを活用すれば、複数の士業領域を一度に確認できます。
会社設立は、定款・登記・税務・社会保険など、多くの専門領域が同時並行で進む手続きです。発起人としての一歩を、出典のはっきりした情報と信頼できる専門家のサポートとともに踏み出してください。
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