【株式会社M&Aソーシングクラウド】人手不足というペインに挑む、M&A支援の次世代モデル

M&A業務の現場に潜む“人手不足”というペインを、月額制BPOサービスで解消する「株式会社M&Aソーシングクラウド」の代表取締役、中有哉さん。
中さんは、20代後半で一度起業を経験するも、リーマンショックの影響で撤退。その後、アフィリエイトの世界に興味を引かれて広告業界へと転身しました。
アフィリエイト広告会社の「株式会社インタースペース」では、営業として活躍する傍ら、同社のタイ現地法人の代表取締役に抜擢。2020年には「株式会社ピアラ」にジョイン。M&Aや投資業務を担当し、子会社では代表取締役を歴任しました。
その後、業務委託ベースでのM&A支援業務をもとに、ソーシング業務を月額制で請け負うユニークなビジネスモデルを構築し、「株式会社M&Aソーシングクラウド」で独立。
時代に即したM&Aの新たな選択肢を提供する中さんに、起業までの道のりや経営者として大切にしているマインドなどをお伺いしました。
- 中有哉さんのご経歴
- クライアントの利害と一致した支援を行う、「M&Aソーシングクラウド」
- ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
- 初めての起業で失敗し、ワーキングホリデーで余暇を満喫
- ー学生時代(青年期)、会社経営に憧れを抱いたエピソードがあればお聞かせください。
- ー初めて起業されたときのエピソードをお聞かせください。
- アフィリエイトのスキームに衝撃を受け、広告会社に入社した
- ー帰国後、どのような会社でどのような業務を経験されたのか教えてください。
- ー株式会社インタースペースの海外進出に伴い、タイ現地法人の代表取締役を経験したエピソードをお聞かせください。
- 未知の領域に足を踏み入れ、「M&Aソーシングクラウド」を作り上げた
- ー株式会社インタースペースを退社後、どのような経緯でM&Aのビジネス領域へ進まれたのでしょうか?
- ー「M&Aソーシングクラウド」というBPOサービスで起業するまでの経緯をお聞かせください。
- コストをコントロールできる一人社長なら、ガチガチの事業計画は必要ない
- ー株式会社M&Aソーシングクラウドを設立する際の準備で苦労したことはありますか?
- ー経理・会計については、どの程度ご自身で対応しているのでしょうか?
- ー起業前に経営に必要な知識やノウハウを学ぶ機会はありましたか?
- 本当にフラットな立場で支援するのが、M&Aソーシングクラウド
- ー株式会社M&Aソーシングクラウドは、どのような企業様のニーズに応えるビジネスを提供しているのでしょうか?
- ー「M&Aソーシングクラウド」の特徴について、詳しく教えていただけますか?
- 「買いたい企業」に向けた情報発信で、新たなM&Aの選択肢を届けたい
- ーサービスの認知拡大において、これから力を入れたいことは何でしょうか?
- ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
- 信頼は資産。だからこそ「裏切らない」姿勢を貫く
- ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
- ー組織や社員の成長を促すうえで、意識されていることはありますか?
- 属人性からの脱却した組織を作り、いつかは自分もM&Aの買い手になりたい
- ー株式会社M&Aソーシングクラウドの将来ビジョンをお聞かせください。
- ー中様ご自身の将来ビジョンも教えていただけますか?
- 経営者のスタイルに正解はない。若いうちの失敗なら潰しも効く
- ー起業してよかった、経営者になってよかったと思えたことをお聞かせください。
- ー経営者を目指す上で大切な要素とは何でしょうか?
- 意思決定とリターン。どちらかに惹かれるなら迷わず起業を!
- ー起業を目指している読者に対してメッセージをお願いします。
- 起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
中有哉さんのご経歴
- 2010年:アフィリエイト広告領域を主な事業とする「株式会社インタースペース」に入社。Web専業代理店向けのアフィリエイト広告販売業務を経験。
- 2013〜2017年:同社のタイ進出に伴い、現地法人の代表取締役に就任。広告事業からシステム開発、管理業務、経営全般まで経験。
- 2017年:「マーベリック株式会社(現:株式会社サークア)」に入社。事業統括としてアドネットワーク事業の新規立ち上げを経験。
- 2020年:「株式会社ピアラ」にジョインし、同社の投資、M&A、アライアンスを担当。同年11月、同社子会社となる「株式会社ピアラベンチャーズ」の代表取締役に就任し、ファンドを運用。2023年末に退任。
- 2024年1月:自身が代表を務める「Glide合同会社」での業務を開始。
- 現在:社名を「株式会社M&Aソーシングクラウド」に変更し、M&Aのソーシングに特化したBPOサービスを展開。
クライアントの利害と一致した支援を行う、「M&Aソーシングクラウド」

ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
「株式会社M&Aソーシングクラウド」という会社を経営しています。
もともとは2021年3月に創業した「Glide(グライド)合同会社」から社名変更したもので、現在はM&Aのソーシング業務を月額制で提供するBPOサービスを展開しています。
初めての起業で失敗し、ワーキングホリデーで余暇を満喫
ー学生時代(青年期)、会社経営に憧れを抱いたエピソードがあればお聞かせください。
高校を卒業するときは高収入の仕事に興味を持っていたので、普通の就職先は選ばず、夜職でアグレッシブにお金を稼いでいました。
夜職では一応正社員というポジションで24歳くらいまで働きました。20代前半までは、自分の事業を持って会社経営者になることは考えていませんでしたね。
ー初めて起業されたときのエピソードをお聞かせください。
20代後半の頃に、小さな会社を立ち上げたんです。主なお客様は飲食店だったんですが、ちょうどそのタイミングでリーマンショックが直撃して、もう全滅でしたね…。
当時、28歳にしてはある程度キャッシュもあったので、「まあ1,000万円くらいは手元に残るだろう」と考えて、早めに撤退する判断をしました。
ただ、その後に「これがやりたい!」っていう明確なビジョンがあったわけでもなかったんです。そこで、年齢制限ギリギリの30歳の誕生日直前にワーキングホリデー(ワーホリ)に行くことにしました。
半年ほどオーストラリアに滞在しましたが、実際には“ワーキング”というより“ホリデー”を満喫してましたね(笑)。
実はワーホリに出発する前に、手元の資金の一部をFXに入れてたんです。リーマンショックの影響でかなり円高でポジションを持っていたので、思いがけずお金は増えていましたね。
アフィリエイトのスキームに衝撃を受け、広告会社に入社した

ー帰国後、どのような会社でどのような業務を経験されたのか教えてください。
今から約15年前、「株式会社インタースペース」というアフィリエイト広告を扱う会社に入社しました。
当時のインターネットは「好きな人だけが触れてる時代」で、私もその一人でした。ある日、ネットで有名な一括査定依頼サービスを見つけて、「この仕組み考えた人天才!」って思ったのがアフィリエイトに興味を持つきっかけでした。
たとえば、アフィリエイターが500円で集めた「見積もり依頼」を、複数の企業に1,000円で提供する。アフィリエイターには500円の利益が出るし、企業も1,000円で見込み客が手に入るというWin-Winなモデル。
中間業者がこんなに高い利益を取れるビジネスモデルに驚愕しました。
それがきっかけでアフィリエイトに触れられる会社に入りたいと考え、後円があってインタースペースで採用いただきました。当初は「3〜5年くらい働いて、稼げる仕組みが見つかったら独立しよう」と思ってました。
主に広告代理店向けのセールスを担当していたんですが、仕事がどんどん面白くなってきて、結果的に7年間在籍することになりました。その間に、海外進出の話が挙がり、タイ現地法人での代表取締役も経験しました。
ー株式会社インタースペースの海外進出に伴い、タイ現地法人の代表取締役を経験したエピソードをお聞かせください。
インタースペースに入社して3年くらいの頃、インターネットマーケティングの会社が東南アジアに進出するのがトレンドでした。
同社もタイとインドネシアへの進出が決まり、その責任者を社内で公募していて選考プロセスは色々あったんですが、最終的にはチャンスをもらって現地に赴任しました。
タイ現地法人では、経営全般の業務に加えて、新規事業に伴うシステム開発から広告、管理業務まで幅広く携わりました。
それまで広告主と掲載媒体の調整をして広告売上が出ればOKというミッションから、現地の税務に合わせて成果報酬支払いをする仕組みを考えたり、ゼロから管理画面や配信システムの開発に関わったりと、海外の立ち上げでないと経験できないことや、1年近く売り上げがないなかで採用やオフィスの拡大をしながら2年以上赤字の立ち上げフェーズから黒字化までという経験ができたのはかなり大きな成長機会を与えてもらったなと感じています。
当時、アドウェイズやマイクロアド、オプト、GMOクラウドといった企業も東南アジア進出をしていました。そのなかで、GMOクラウドの方と親交を深める機会があり、インタースペースを辞める最後の意思決定のときに相談したことを覚えています。そして、2017年に同社を退社しました。
未知の領域に足を踏み入れ、「M&Aソーシングクラウド」を作り上げた
ー株式会社インタースペースを退社後、どのような経緯でM&Aのビジネス領域へ進まれたのでしょうか?
新たな会社で働き始めたとき、Webマーケティング会社の間で投資事業が流行っていました。「この会社でも投資事業をやったら面白いな!」と思って、投資先を選定して提案をしたことがありましたが、聞き入れてもらう機会はありませんでした。
そんなときに、株式会社ピアラの社長から「弊社でそれをやろうと思ってるから一緒にやろうよ」と声をかけていただいたんです。
同社では、子会社を作って投資事業を始めるプロジェクトがあり、本社のM&Aと兼務という役割でジョインすることになりました。
当時、M&Aもベンチャー投資も全くの未経験だったので、自分でいいのだろうかという気持ちがありましたが、主幹事業のマーケットがわかっていない金融やコンサル出身のキャリアの方よりも、近い領域での経験が豊富な方が期待値が高いという評価をいただきお任せいただきました。
結果として在任中は7社へのスタートアップ投資(1件はM&Aエグジット)とM&Aは事業譲渡も含めると3件クロージングすることが出来ました。
ー「M&Aソーシングクラウド」というBPOサービスで起業するまでの経緯をお聞かせください。
独立した当初は仕事がないということが一番怖かったので、売上確保のために費用と工数が見合っていてしっかりとアウトプットが出せる仕事であればなんでも受けていました。
ですが、3ヶ月程度その何でもやる状態を続けたときにマーケティングの観点では「何でもやってます=何もしていません」という状態であることと、名前が付いていないものを人は認知しないということもあるのでこれでは良くないなと考えました。
そこで、以前からM&A担当者の業務を代行する業務委託案件があったので、それを基盤とした「M&Aソーシングクラウド」というサービスをりました。
ピアラは2023年末に退職しましたが、在職中の2021年3月に「Glide(グライド)合同会社」という会社を立ち上げていました。もともと不動産投資や海外ファンド出資を目的とした会社でしたが、2025年3月に「株式会社M&Aソーシングクラウド」に社名を変更し、M&Aのソーシングに特化したBPOサービスを展開しているところです。
かつては何でもやる系の一人社長でしたが、今では自分でサービスやブランドを立ち上げて発信する経営者となりました。
コストをコントロールできる一人社長なら、ガチガチの事業計画は必要ない

ー株式会社M&Aソーシングクラウドを設立する際の準備で苦労したことはありますか?
会社員時代から持っていた会社をそのまま活用しているので、M&Aソーシングクラウドを立ち上げるときは契約書を作るくらいの手間で済みました。
M&Aや投資業務を通じて、契約書の書き方もある程度理解していたので、ネットでダウンロードしたテンプレをちょっと編集しただけで作成できました。
事業計画書に関してもカチっとしたものは作っていません。一人社長なので自分でコストをコントロールできるという柔軟性があるので、大まかな目標だけ決めておけば、事業計画をガチガチに固めておかなくてもある程度は運営出来てしまうと考えています。
当然短期間で急成長するような目標を持っている場合は、作り込む必要があると思いますが、当面は拡大よりも品質と効率を高めたいという方針だからというところもあります。
資金面でもM&Aソーシングクラウドは、先行投資や仕入れが必要ないビジネスなので、特に資金調達もせずに事業をスタートしました。
ー経理・会計については、どの程度ご自身で対応しているのでしょうか?
弊社の場合、2024年2月までの3期にわたって税理士さんを入れていませんでした。
前期までは日頃の記帳を自分でやり、年一の決算だけ10万円を支払って税理士さんに発注していました。
ただ、もともと不動産投資や海外ファンド投資があったので、個人の確定申告については15年間自分で行なっていました、
今は確定申告ソフトfreeeのような便利なサービスがあるので、青色申告のハードルも低くなったと思います。
ただ、会社で「誰かがやってくれているもの」と思っていた人が独立すると、本当に何もわからず苦労すると思うので、税理士さんなどにきちんと依頼したほうがいいでしょう。
ー起業前に経営に必要な知識やノウハウを学ぶ機会はありましたか?
投資MA担当は、投資先を探してくることが役割なので、比較的余白の多い状態で仕事ができていました。
セミナーや交流会などもソーシングとしては記帳な情報源になるので、そういった場へは積極的に顔を出していました。ベンチャー投資の業務として起業家のピッチを聞く機会も多かったので、自分では経験していない領域のビジネスについてもインプットできる機会が多かったのも恵まれていたと感じています。
IVSやB Dash Campのようなスタートアップ系のイベントにも足を運んでいたので、インプットする機会が多くてありがたいと感じていました。
独立を目指している方に超オススメするのが、上場企業の子会社をやることです。上場企業子会社の社長になると、上場会社の社長や役員だけを呼んだ交流会に誘ってもらえることがあります。たくさんの方と繋がりをつくれますし、先輩経営者から多くのことを学ぶ機会があります。
独立した後も、営業先としてのメリットがたくさんありますし、そういった場所に積極的に参加できるのは大きいですよね。
本当にフラットな立場で支援するのが、M&Aソーシングクラウド
ー株式会社M&Aソーシングクラウドは、どのような企業様のニーズに応えるビジネスを提供しているのでしょうか?
いわゆる「ストロングバイヤー」と呼ばれる、M&Aを連続的にガンガンやっている企業はそれが実行できるだけの体制が整っています。そうでない大半の企業ってそうじゃないんです。
多くの企業ではM&A担当は兼務な上にメインではなく、メイン業務がCFOや経営企画のような重要かつ多忙な方が兼務しているケースがほとんどで、メイン業務の重要性が高すぎて兼務しているM&Aの業務に十分なリソースが割けていない会社が非常に多いです。では、そういった会社がM&A専任の担当者を置くかというと、そういった会社では1人月専任のM&A担当がフルタイムで行うほどの業務量が無いという状況でもあったりします。
つまり、専任は置けない。でも、兼務担当者もリソースが足りない。こういう“ペイン”を抱えている会社こそ、私たちのサービスとすごく親和性が高いんです。
こういう企業、実はめちゃくちゃ多いんですよ。M&Aの経験者が社内に誰もいないなんてむしろ当たり前ですし。だからこそ、「M&Aをやりたいけど、社内リソースが追いつかない」という企業にとって、M&Aソーシングクラウドはちょうどいいサービスなんじゃないかなと思っています。
M&Aの件数は年々増えていて、公表されている件数だけでも2024年は約4700件というデータがでています。どこからもリリースのでていないものも含めるともっと件数は多いです。経営者の高齢化による事業承継というのも当然増えていますが、成長戦略として大手にグループインするという選択肢を持つビジネスマンとして脂の乗った世代の経営者も増えてきています。
また、オーガニック成長に限界が見えてきたであったり、オーガニック成長では成長率に満足できない経営者にとってM&Aという手段がより身近と言うか一般的に選択肢に上がるようになっても来ています。
M&A仲介が各社成長したり、大手から独立して中小・中堅の仲介会社やFAが増えたりしていて、M&Aが活発になる土壌が整ったように見えますが、まだこれだけでは不十分で書いての社内体制は全然追いついていないのが実情だと思っています。
ー「M&Aソーシングクラウド」の特徴について、詳しく教えていただけますか?
M&Aソーシングクラウドは、月額20万円(税別)で提供しているM&AのBPO(業務代行)サービスです。
対応内容としては、M&A戦略の設計支援から始まり、ロングリストの作成、仲介/FA(ファイナンシャル・アドバイザー)業者との対応代行、NN情報やIMの精査・エスカレーション、そして対象会社との接触支援まで、一通りのプロセスを網羅しています。
特に特徴的なのがM&Aの業界では成功報酬型のプライシングをしている事業者が非常に多いです。ですが、私達の業務はあくまでも社内のM&A担当の立場を代行するという概念にこだわっているため月額固定での役務提供をしています。
成功報酬型になると、クライアントが要らないものでもなるべく高く買うということが私達にとって一番儲かるということになるため、その概念と相反してしまいます。当然クライアントとの利害も一致しません。
もう1点成果報酬がフィットしない理由としては仲介会社からの情報収集も貴重な情報源として業務を行っています。そのため私達が成功報酬を取るプライシングをしていると、仲介会社側から「あの会社に案件を持ち込むと自分たちの取り分が減る可能性がある」という懸念が出て情報提供の優先度が下がってしまうおそれがあります。そうなると、最終的にクライアント様へのアウトプットの質と量が下がる結果になります。
クライアント企業の成長戦略に沿ってM&Aを成功させていくパートナーとしては、月額固定のプライシングが最も適していると考えています。
「買いたい企業」に向けた情報発信で、新たなM&Aの選択肢を届けたい

ーサービスの認知拡大において、これから力を入れたいことは何でしょうか?
すぐにはできないかもしれませんが、Youtubeはチャレンジしてみたいと思っています。
実際、YouTube上にはすでにM&A関連のコンテンツがたくさんあるんですが、多くは売却の成功ストーリというものが多いです。
ですが、どこの会社がどういった目的でどういう会社を買いたいというコンテンツはなかなか見かけません。IRTVなどで経営者が中長期戦略の一部としてM&Aについて語る部分があるぐらいかなという印象です。
たとえば、クライアント様も含めて経営者に出演していただいて、「こういう会社を買いたい」という発信をするような動画を多く蓄積して、アドバイザーの中にも認知されれば新規案件を受託したときにその動画を見て、提案が入ってくるという機会が増えると期待できます。
こういったコンテンツが増えてくると営業でアポを取る際に、YouTubeチャンネルを見せながら「こういう情報を発信しているんです。ぜひ取材させてください」と言えば、打ち合わせの入口にもなりますし、信頼性や透明性のアピールにもなると思っています。
昔、ある方が「情報は発信する人のところに集まる」とおっしゃっていて、すごく印象に残ってるんですよね。何らかのメディアで発信したいとはずっと思っていて、YouTubeが一番フィットするチャネルだと感じています。
ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
今でも結構低価格でサービスを提供しているんですが、さらにライトにしたプランの可能性を探っているところです。
基本的にどこに行っても人手不足なので、人が増えることを前提としたビジネスってちょっと成り立ちにくいかなって思っています。
ビジョナリーとはかけ離れてしまいますが、レンタルスペースなどのモデルなら実現できるかもしれません。業種も分野も関係なく、人手のかからないビジネスを何かやりたいですね。
信頼は資産。だからこそ「裏切らない」姿勢を貫く
ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
一番大切にしているのは「裏切らない」ということですね。
なんだかんだ言って、業界って狭いじゃないですか。だからこそ、リピテーションリスク(評判リスク)って本当に大きいんですよ。
逆に言えば、一度信頼してもらえたら、その信頼がまた次の信頼を呼ぶという、ポジティブな循環が生まれる。そういう意味でも、裏切らないという姿勢は自分の中ではすごく大事にしている部分です。
もうひとつ、最近すごく印象に残った話があって。経営者仲間と飲んでいたときに、ある友人が「自分の会社のアウトプットは、自分のクオリティとして満足できないとダメだ」と言っていたんです。新人や経験が浅いメンバーだから相応のクオリティでいい、という妥協は絶対にしないんです。その彼の会社は結構厳しめで、メンバーに高い基準を求めるんですよ。でもその理由を聞いて、「あ、これは正しいな」と思ったんです。
特にBtoBのビジネスでは、クライアント様が忙しかったり、担当者のリソースが足りなかったりすることで、こちらのアウトプットの質が下がってしまうことも時にはあります。でも、それを「仕方ない」で済ませてしまったら、それはやっぱり違うなと。
クライアント様が動けないなら、その状況を打開するための策を考えるのが経営者としての姿だと思います。「クライアント様のせいで成果が出ませんでした…」なんて言い訳はできません。
「自分のアウトプット=自分の看板」だと捉えて、常に納得できるクオリティを出すこと。それも経営者として大切にしているマインドの一つですね!
ー組織や社員の成長を促すうえで、意識されていることはありますか?
前職でM&Aやベンチャー投資を担当する前までは、事業部門で部下を持って仕事をしていた時期が当然あったんですが、そのときからずっと意識していたのが、「業務をただの作業として伝えないこと」です。
仕事を頼むときに、「これやっておいて」と業務ベースでオーダーしがちなんですが、その業務が会社や製品・サービスのどんな成長戦略と繋がっているのかを、ちゃんと伝えるようにしていました。
会社として「こうなりたい」という目標や方向性があって、そのために今この業務がある。つまり「今やっているこの仕事は、ちゃんと会社全体の成長ストーリーの一部なんだ」という実感を持ってもらうことを大切にしていました。
やっぱり、日常業務って単体で見たらつまらないじゃないですか。言われたことを淡々とこなしていると、「何も考えずに作業してるだけの人間なのかな」って感覚になることもあります。でも「君が今やっていることが、会社のこの成長フェーズにとってすごく重要なんだよ」と、きちんと結びつけてあげることで、本人のモチベーションや視座が全然変わってくるんです。
だから、組織を動かすうえでも個人の成長を促すうえでも、「今、自分がどういう役割を担っているのか」を言語化して渡してあげることを心がけていますね!
属人性からの脱却した組織を作り、いつかは自分もM&Aの買い手になりたい

ー株式会社M&Aソーシングクラウドの将来ビジョンをお聞かせください。
現在、M&Aソーシングクラウドは私ひとりが中核となり、あとは業務委託メンバーで運営している形ですが、将来的には5〜10名ほどの組織規模にしていきたいと考えています。
5〜10名で運営できるようになれば、ビジネスがある程度「仕組み化」できます。
現在は私自身の人的ネットワークで仕事を受注して、実務も自分で対応しているという、かなり属人的なモデルなんですよ。いわゆるセールス&マーケティング、デリバリーの部分が仕組み化されていない状態です。
極端な話、私の健康がそのまま経営リスクになります。仮に体調を崩してしまったら、クライアント様に迷惑をかけてしまいますし、もちろん自分にも大きな影響が出ます。ある程度は誰に何があっても、デリバリーが問題なく進む組織を作っていきたいです。
ー中様ご自身の将来ビジョンも教えていただけますか?
実は将来的に、自分自身がM&Aの買い手になりたいと考えています。
会社としてキャッシュを着実に積み上げていきつつ、クライアント様にマッチしそうな案件があればもちろんご提案しますが、それ以外で面白いなと思える案件があれば、自分で買収を検討する、そんなスタンスを持ちたいと思っているんです。
20年、30年と地道に続いてきた会社を割安で買えるチャンスがあるとしたら、それってめちゃくちゃいい投資じゃないですか。ここ2〜3年で急成長した会社よりも、しっかり歴史があって業績も安定している会社に目を向けるほうが、理にかなってると思うんですよね。
少し前にめちゃくちゃ割安な価格目線ではあったんですが、いわゆるレガシーな領域の事業で、ITやマーケティング領域のがメインの私達のクライアント様には完全に飛び地となってしまう領域の会社でターゲットには入っていないので、自分で買いたいなと思ったんですよね(笑)。ただ、資金は全然足りなかったので断念しました。他にも、塗料の問屋さんとか、いわゆるレガシーな産業でも、実は中身はしっかりしていて、すごく面白い会社ってけっこうあるんですよ。
こういった案件に出会えるのも、この事業をやっているからこそだと思っています。
経営者のスタイルに正解はない。若いうちの失敗なら潰しも効く
ー起業してよかった、経営者になってよかったと思えたことをお聞かせください。
よく言う独立すると時間が自由になったというような点でいうと、前職時代からかなり自由にやらせてもらっていた関係であまりそこは大きな差はないです。
子会社の代表や新規事業の責任者というポジションが会社員時代から多かったので自然とその時から視座は経営者に近かったと思います。
ですが、大きな違いはキャッシュフローを自分で意識する必要があるというところはあります。当たり前なんですがここはかなり大きいです。
良かったことで言うと、独立前から相談していた先輩経営者の方が、僕が独立するということについて喜んでくれる方がいて、今でもその会社からは発注いただいてお仕事をご一緒していますが『中さんが独立するのは楽しみだな。嬉しい。』とほぼ遊び仲間みたいな関係値の先輩経営者が喜んでくれたのはすごく嬉しいことでした。
ー経営者を目指す上で大切な要素とは何でしょうか?
経営って本当に十人十色で、「これが正解」ってないと思っています。
たとえば、私のようにスモールビジネスを一人や少人数で回すスタイルでは、営業・実務・マネジメントまで幅広くこなすゼネラリスト的なスキルが必要です。
一方で、「なんか人が集まってくるタイプ」っているじゃないですか。そういう人は、何かひとつ突出したスキルがあれば集まってくれる仲間に苦手なことはふればいいですし。これも立派な経営スタイルだと思います。
私自身は、独立してから品質の向上みたいな努力はしてますが、仕事がないみたいな意味での苦労はしてないんです。会社員時代の経験や人脈のおかげで、安定して仕事をいただけているので。
年齢を重ねてから独立するなら、ある程度仕事が取れる状態で始めないと厳しいと思いますね。
逆に、20代前半で独立する人もいますが、それはそれで「アリ」です。「若いうちに独立すると、経験が浅くて可能性を狭める」という意見もありますが、若ければやり直しが効くんですよ。
たとえば、25歳で起業して28歳で失敗しても、まだ若いし、一度経営を経験したことで逆に評価されることもあります。若いうちの失敗は潰しが効くから早めに挑戦すればいいと思いますし、年齢を重ねてから独立するなら、成果が出せる準備を整えておくのが理想です!
意思決定とリターン。どちらかに惹かれるなら迷わず起業を!

ー起業を目指している読者に対してメッセージをお願いします。
起業の意義って色々あると思うんですけど、私自身が大きく感じているのは2つです。
ひとつは、意思決定をすべて自分でできること。会社員だと「こうしたい」と思っても、上司の判断や社内の事情に左右されることが多いです。そういう状況にモヤモヤしている人が起業すれば、自分の意思で物事を進められる「自由」と「やりがい」を感じられるはずです。
もうひとつは、リターン(=利益)を自分で取れること。子会社の社長時代、疑似的な起業体験のような感覚があって、会社のお金を使って新規事業を立ち上げたりしていました。
当時の体験はめちゃくちゃ面白かったですし、仕事も楽しく充実していました。でもその反面、どれだけ事業がうまくいっても、リターンは会社に入るんですよ。つまり、自分でリスクを取ってない分、リターンも取れないんです。当時は自分の資金力では出来ないし、そんなリスクも取りたくないような新規事業を立ち上げていたのでむしろそれでいいと言う意識でやっていましたが、
「自分で勝負して、その分のリターンもしっかり得たいんだ!」と思う人は、起業に向いてると思いますね!
自分の意思で物事を動かしたい人。自分でリスクを取ってリターンを得たい人。
このどちらかに強く惹かれるなら、もう悩まずに起業していいと思います。起業してみないとわからないことが沢山ありますし、仮に失敗してもそれが大きな財産になり、後の成功に繋がりますから
起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!

起業には個人事業主としての開業と会社設立の2種類があり、事業形態に合わせて選ぶことが大切です。また、起業のアイデアをまとめたり、事業計画書を作成したりといった起業の流れを把握し、十分な準備を整えるようにしてください。
一度起業すると、資金や従業員の管理、納税など多くの責任を負わなければなりません。過去の成功事例も参考にしながら、自分なりのビジネスを展開できるよう起業アイデアを練ってみましょう。
起業や開業、独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
「起業の窓口」では、起業に必要なノウハウや成功者のインタビューなど、さまざまなコンテンツを完全無料で提供しています。
会員特典として、起業・経営支援のプロ「V-Spirits」が監修するオリジナル冊子『会社設立完全ガイド』を無料プレゼント。さらに、V-Spritsによる1時間の無料起業相談や、GMOインターネットグループが展開するビジネスの立ち上げや拡大に役立つ各種サービスをおトクな特典付きでご紹介します。
あなたの夢の実現を全力でサポートします!
- ※本記事の内容は取材時点の情報に基づいて作成されたものであり、今後変更される可能性があります。
- ※本記事は一般的な情報提供を目的としております。個人の状況に応じた具体的な助言が必要な場合は、専門家にご相談ください。
- ※本記事に掲載された情報によって生じた損害や損失に対し、弊社は一切の責任を負いません。