フリーランスに損害保険は必要?リスク・補償内容・選び方を徹底解説

フリーランスとして働いていると、「万が一トラブルが起きたとき、誰が守ってくれるのだろう?」と不安になることはないでしょうか。
会社員と違い、フリーランスは仕事上のミスや事故、情報漏洩などのリスクをすべて自分で背負わなければなりません。そんな時に頼りになるのが、損害保険です。
この記事では、フリーランスに損害保険が必要な理由から、具体的な補償内容や保険の種類、サービス選びのポイントまで、分かりやすく解説します。
フリーランスの損害保険について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 【この記事のまとめ】
- フリーランスに損害保険は必須ではないものの加入しておくと安心です。
- フリーランスには「業務管理に関するリスク」「成果物に関するリスク」「事業継続に関するリスク」という3つのリスクが存在します。
- 損害賠償請求されるリスクを考慮したうえで、適切な保険を選ぶことが重要です。
- フリーランスに損害保険は必要?
- 損害保険が必要となる場面
- 損害保険に加入するメリット
- 損害保険に加入するデメリット・注意点
- フリーランスと会社員のリスクの違い
- フリーランスが抱える三大リスク
- 業務管理に関するリスク
- 成果物に関するリスク
- 事業継続に関するリスク
- フリーランスが加入を検討すべき保険の種類一覧
- 損害賠償責任保険
- 所得補償保険
- 賠償責任保険とPL保険
- 情報漏洩保険
- 個人事業主向けの事業総合保険
- サービスの選び方
- 保険金の上限が1億円以上
- 示談交渉サービスの付帯
- 特約の柔軟性とオプションの豊富さ
- 契約・解約手続きの手軽さ
- 損害発生時の対応スピードや実績
- 損害保険の加入手順と注意点
- 加入前に確認すべき事項
- 申し込み〜補償開始までの流れ
- 更新・解約時の注意点
- 損害賠償請求されないために気をつけるべき点
- 問題を起こさないようにする
- 損害賠償の範囲・上限を確認しておく
- 損害賠償の内容について交渉しておく
- 不利な契約でないか確認しておく
- 契約時に納品物の定義を明確にする
- 万一のトラブルに備えた証拠保存を徹底する
- 損害賠償に関するよくある質問
- 損害賠償の金額はどのようにして決まる?
- 著作権侵害の損害賠償はどれくらい?
- 損害賠償を払わないとどうなる?
- 弁護士費用や法的サポートは保険でカバーできる?
- どんな業種・職種でも加入できる?
- もしものときのお守りに。損害保険への加入を検討しよう
フリーランスに損害保険は必要?
フリーランスにとって損害保険は必須ではないものの、加入する価値は十分あります。なぜなら、フリーランスとしての活動にはリスクが伴うためです。
ここでは、フリーランスにおける損害保険の必要性について詳しく解説します。
損害保険が必要となる場面
フリーランスで損害保険が必要となる場面は、いくつかあります。主に損害保険が必要となる場面は以下の通りです。
- 機器の故障
- 情報漏洩
- 著作権の侵害
- 成果物の不備
- 納期の遅延
- 業務中・作業中に事故に遭った
- 体調不良による休職
- 突然の契約解除
フリーランスとして活動している場合、機器の故障、情報の漏洩、著作権の侵害は十分に注意していても予期せぬ場面で遭遇する可能性があります。
また、成果物に不備があったり、納期が遅延したりとフリーランスの故意または過失によって損害が生じた場合、完全履行する義務を負ったり、場合によっては発注事業者から損害賠償請求される可能性があったりします。
他にも、業務中・作業中に事故に遭った、体調不良による休職をした、突然の契約解除をされたなど、思いがけないトラブルに巻き込まれることがあるでしょう。
損害保険は以上のような状況でフリーランスを守ってくれるため、加入しておいて損はないでしょう。
損害保険に加入するメリット
損害保険に加入するメリットとしては、以下のようなものがあります。
- 損害賠償請求された時の負担を抑えられる
- 倒産のリスクを抑えられる
- 取引先を安心させられる
フリーランス側の故意や過失で発注事業者側に損失を与えた場合、損害賠償請求される可能性があるのですが、損害保険に加入し保険金受給要件を満たせば保険金が得られ、金銭的な負担を軽減可能です。
加入している損害保険によって金銭的な負担をどれほど軽減できるかは変わりますが、何も加入していないよりは遥かに安心といえるでしょう。
損害保険は倒産のリスクを抑えられる他、取引先を安心させられるなどいくつかのメリットがあるため、必要に応じて加入しておくのが望ましいです。
リスクを犯さないよう注意していても万が一の状況は発生するため、自分自身の身を守るためにも損害保険には加入しておくことを推奨します。
損害保険に加入するデメリット・注意点
フリーランスが損害保険に加入する際には、いくつかのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。損害保険に加入する際の主なデメリット・注意点は以下の通りです。
- 保険料の継続的な負担が発生する
- 補償範囲や期間を誤認しやすい
- 補償内容の重複や不足に注意が必要
- 付帯サービスが使い切れない場合がある
- 年単位契約など柔軟性に欠ける場合がある
毎月もしくは年単位で保険料が発生するため、固定費が増える点は無視できません。特に、収入が安定しない時期や案件が少ない時期には、保険料負担が重く感じられる場合があります。
また、補償内容や期間をしっかり確認せずに加入すると、実際にトラブルが発生した際に保険が適用されないケースもあり得ます。
例えば、補償範囲が重複していると、無駄な保険料を支払うことになったり、逆に必要なリスクがカバーされていない場合もあります。
さらに、保険会社やプランによっては、付帯サービスが多すぎて使い切れなかったり、年単位での契約しか選べず柔軟性に欠けることもあります。
これらの点を踏まえ、保険の内容を十分に比較検討し、自身の業務内容やリスクに合ったプランを選ぶことが重要です。
加入前には、補償範囲・保険期間・付帯サービスの有無などを細かく確認し、無駄のない保険選びを心掛けましょう。
フリーランスと会社員のリスクの違い
フリーランスと会社員では、業務や生活におけるリスクの種類と大きさが異なります。
会社員は企業に雇用されているため、安定した収入や社会保険、福利厚生などの保障を受けることが可能です。
一方、フリーランスは自由度の高さが魅力ですが、収入や保障面でのリスクが大きくなります。主な違いは、以下の通りです。
比較項目 | フリーランス | 会社員 |
---|---|---|
収入の安定性 | 収入が不安定、案件が途切れると無収入になる | 毎月安定した給与が支給される |
社会的信用 | 低くなりやすく、ローンや賃貸借契約で不利になる | 社会的信用が高く、各種審査も通りやすい |
福利厚生・保険 | 自己負担。労災や失業保険、退職金などの保障がない | 会社負担で社会保険や福利厚生が受けられる |
トラブル対応 | 契約や賠償トラブルも自己責任で対応する必要がある | 法務や人事部が対応し、個人の責任は限定的 |
税金・事務手続き | 確定申告や経理などすべて自分で行う必要がある | 会社が年末調整や税務処理を代行してくれる |
法的保護 | 労働基準法などが適用されず、トラブル時の保護が弱い | 労働基準法などにより手厚く保護されている |
フリーランスは、「収入の不安定さ」「社会的信用の低さ」「保険や福利厚生の不足」「トラブル時の自己責任」など多岐にわたるリスクを抱えています。
一方、会社員は安定した給与や社会的信用、福利厚生などの恩恵を受けられますが、働き方の自由度は低くなります。
特にフリーランスは、損害賠償請求や業務上のトラブルが発生した際、すべて自分で解決しなければならず、万一に備えたリスクヘッジが不可欠です。
フリーランスは自由な働き方の裏側で、会社員以上に多様なリスク管理が求められます。損害保険への加入など、万が一に備える対策を講じることが重要です。
フリーランスが抱える三大リスク
フリーランスは、業務管理・成果物・事業継続に関する3つのリスクに注意が必要です。ここでは、フリーランスが抱える三大リスクについて詳しく解説します。
業務管理に関するリスク
フリーランスとして働く場合、機器の故障、情報の漏洩、著作権の侵害に注意が必要です。ここでは、業務管理に関するリスクについて詳しく解説します。
機器の故障
フリーランスで活動する場合、使用する機器の故障が度々発生します。仕事用のスマホ、タブレット、パソコンが故障して何もできなくなることがあります。
フリーランスの場合は自宅・カフェ・コワーキングスペースで仕事をするのが一般的なため、デバイスが故障すると何もできなくなる可能性が否めません。
機器の故障に備えて、すぐ再購入や修理ができるように備えておくのが良いでしょう。
情報の漏洩
フリーランスでは、情報の漏洩に注意が必要です。セキュリティを強化していてもサイバー攻撃やハッキング被害により、情報が漏洩する可能性はゼロではありません。
故意に情報漏洩した場合でなくとも、発注事業者の企業秘密や守秘義務にダメージを与えた場合は損害賠償請求を受ける可能性があります。
そのため、情報の漏洩には十分に注意しなくてはなりません。
著作権の侵害
フリーランスでは、著作権の侵害に注意が必要です。第三者が製作したものには著作権があり、許可なく使用したり無断で配布したりすると著作権の侵害に当たります。
フリーランスの場合はフリー素材を活用して仕事をしている人もいますが、無意識に著作権を侵害している可能性が否めません。
著作権を侵害しないよう、他者の著作物には十分注意しておきましょう。
成果物に関するリスク
フリーランスとして働く場合、成果物の不備、納期の遅延に注意が必要です。ここでは、成果物に関するリスクについて詳しく解説します。
成果物の不備
フリーランスでは、成果物の不備があった場合、損害賠償請求される可能性があります。故意ではなかったとしても成果物に欠損・破損が見られた場合は、損害賠償請求の対象です。
当然ながら、手抜きによって成果物に不備が見られる場合は発注事業者に損失を与えたとして損害賠償請求される可能性があるため、注意が必要となるでしょう。
納期の遅延
フリーランスでは、納期の遅延があった場合、損害賠償請求される可能性があります。予期せぬ事情があったとしても納期に間に合わなかった場合は、損害賠償請求の対象です。
もちろん、失念していて納品を忘れた場合は発注事業者に損失を与えたとして損害賠償請求される可能性があるため、注意が必要となるでしょう。
事業継続に関するリスク
フリーランスとして働く場合、業務中・作業中の事故、体調不良による休職、突然の契約解除に注意が必要です。ここでは、事業継続に関するリスクについて詳しく解説します。
業務中・作業中の事故
フリーランスとして働く場合、業務中・作業中の事故が発生する可能性があります。予想だにしていない事故で負傷する可能性もあるため、常にリスクヘッジが重要です。
例えば、働けなくなった場合の収入源をどう確保するか、取引先にどう連絡するか、途中で中断した案件をどうするかなど、場面に応じたリスクヘッジが欠かせません。
体調不良による休職
フリーランスとして働く場合、体調不良による休職が思いがけず発生します。頭では大丈夫と考えていても急に倒れる可能性があるため、常に体調管理が重要です。
無理をして心や体を壊すフリーランスは多く、精神的・肉体的な回復まで数ヶ月〜1年ほど要する例が少なくありません。
突然の契約解除
フリーランスは立場上、突然契約解除される場合があります。フリーランスを取り巻く環境は改善されつつあるものの、未だに身勝手な契約解除が横行中です。
理由なく解除したり、予告なく解除したり、発注事業者によっては一方的な条件で業務委託契約を結ぶ例も後を絶ちません。
今後はフリーランス新法の制定によりフリーランスの労働環境は改善されると予想されていますが、自分自身で対策を練っておくことが重要となるでしょう。
フリーランスが加入を検討すべき保険の種類一覧

フリーランスとして活動する場合、業務や生活に関わるリスクは多岐にわたります。万が一のトラブルや収入減少に備えるためには、適切な保険選びが欠かせません。
ここでは、代表的な保険の種類と特徴を解説します。
損害賠償責任保険
フリーランスが加入を検討すべき損害賠償責任保険は、業務上の過失により取引先や第三者に損害を与えた場合の賠償責任をカバーします。
例えば、情報漏洩や納品物の欠陥、納期遅延などが発生し、クライアントから損害賠償請求を受けた際に、高額な賠償金や弁護士費用などが発生するリスクがあります。
会社員と異なり、フリーランスはすべて自己責任となるため、万一のトラブルに備えて損害賠償責任保険に加入しておくと安心です。
所得補償保険
所得補償保険は、病気やケガで働けなくなった場合に収入減を補うための保険です。
フリーランスは会社員と違い、傷病手当や有給休暇がないため、体調不良や事故で業務を休むと収入が途絶えるリスクがあります。
所得補償保険は、一定期間働けなくなった場合に、毎月の収入の一部を補償してくれるため、生活のセーフティネットとして活用できます。
加入条件や補償内容は保険会社によって異なるため、自身の働き方やリスクに合わせて比較検討しましょう。
賠償責任保険とPL保険
賠償責任保険は、業務中に第三者に損害を与えた場合の一般的な賠償責任を補償します。
一方、PL保険(プロダクトライアビリティ保険)は、提供した製品やサービスが原因でクライアントに損害を与えた場合の賠償責任をカバーする保険です。
例えば、飲食業やハンドメイド販売、ITサービスなど、製品やサービスに起因するトラブルが多い業種ではPL保険が特に重要です。
どちらも高額な賠償リスクに備えるための保険ですが、業務内容によって必要な補償範囲が異なるため、両者の違いを理解して選ぶことが大切です。
情報漏洩保険
情報漏洩保険は、業務上知り得た機密情報や個人情報を誤って外部に漏洩した場合の損害賠償リスクに備える保険です。
ITフリーランスやクリエイターなど、機密情報を取り扱う機会が多い場合、不注意による情報漏洩が大きなトラブルに発展する可能性があります。
情報漏洩が発生すると、損害賠償や対応費用が高額になるケースもあるため、専門の保険やサイバーリスク補償プランなど、情報漏洩リスクに特化した保険を検討する価値があります。
個人事業主向けの事業総合保険
個人事業主向けの事業総合保険は、財物の損害や休業損失、賠償責任など、事業活動に伴うさまざまなリスクをまとめて補償する保険です。
例えば、オフィスや機材の損害、自然災害による休業、第三者への賠償責任など、多様なトラブルに対応できます。
補償内容が1本にまとまっているため、煩雑な管理や更新作業が少なく、必要な補償を効率よく手配できます。業種や規模に合わせて必要な補償を選べるため、幅広いリスクヘッジが可能です。
サービスの選び方
フリーランスが加入する損害保険は、いくつかの保険会社が提供しているため、選び方を知っておくことが重要です。ここでは、サービスの選び方について詳しく解説します。
保険金の上限が1億円以上
損害保険のサービスを選ぶ場合、保険金の上限が1億円以上のものを選びましょう。
保険金の上限が1億円以上の保険に加入しておけば、多額の損害賠償請求に対応可能です。損害賠償請求の金額は、過失の割合や損失の内容によって決まります。
しかし、事前に取り決めがなかった場合や被害の規模が甚大だった場合、数千万円規模の損害賠償請求が課せられる可能性がゼロではありません。
そのため、保険金の上限は1億円以上もしくは数千万円規模のものをお選びください。
示談交渉サービスの付帯
損害保険のサービスを選ぶ場合、示談交渉サービスの付帯があるものを選びましょう。
示談交渉サービス付帯の保険に加入しておけば、専門家が示談交渉してくれます。加害者と被害者の当事者間の話し合いが必要となった場合、専門家が間に入ってくれるため安心です。
危機的状況のときにプロが相談に乗ってくれるだけで、心強いのではないでしょうか。
特約の柔軟性とオプションの豊富さ
フリーランス向け損害保険を選ぶ際は、特約の柔軟性やオプションの豊富さが重要です。
業務内容やリスクは人によって異なるため、不要な特約を省き、必要な補償だけを選択できるプランが望ましいです。
例えば、情報漏洩や設備損壊、業務中の事故など、業種ごとに必要な補償を柔軟に追加できる保険なら、無駄なコストを抑えつつ、リスクに的確に備えられます。
契約・解約手続きの手軽さ
保険サービスを選ぶ際は、契約や解約手続きの手軽さも大切です。オンラインで簡単に申し込みや解約ができる保険なら、忙しいフリーランスでも時間を取られません。
特に、業務内容や働き方が変化しやすいフリーランスは、必要に応じて柔軟に契約内容を見直せるサービスが便利です。手続きの煩雑さが少ない保険を選ぶことで、業務に集中しやすくなります。
損害発生時の対応スピードや実績
損害が発生した際の対応スピードや保険会社の実績も、保険選びの大きなポイントです。トラブル時に迅速な対応が受けられれば、被害拡大を防ぎ、信頼回復にもつながります。
実績豊富な保険会社は、過去の対応事例が多く、安心して任せられる傾向があります。サポート体制や対応履歴を事前に確認し、信頼できるサービスを選びましょう。
損害保険の加入手順と注意点

損害保険に加入する際は、手続きや契約内容の確認が欠かせません。ここでは、加入前に押さえるべきポイントや申し込みの流れ、更新・解約時の注意点について具体的に解説します。
加入前に確認すべき事項
損害保険に加入する際は、契約内容をしっかり確認し、自身の業務リスクに合った補償を選ぶことが重要です。特に、以下のポイントを確認しましょう。
- 補償範囲と補償期間が業務リスクに合っているか
- 免責事項や補償対象外のケースを把握しているか
- 既存の保険との補償範囲の重複がないか
- 追加特約や付帯サービスの有無
- 保険料が予算内か
これらを事前に確認することで、必要な補償を無駄なく選べます。また、申込書には正確な情報を記載し、契約書や重要事項説明書も必ず確認しましょう。
確認を怠ると、万が一の際に保険金が支払われないリスクが生じます。
申し込み〜補償開始までの流れ
損害保険の申し込みから補償開始までは、いくつかのステップを踏みます。手続きの流れを整理すると、以下のようになります。
- 見積もり依頼:代理店やインターネットで保険料や補償内容の見積もりを取得する
- プラン選択・内容確認:自分のニーズに合った補償内容を選び、重要事項説明書で詳細を確認する
- 申込書の記入・提出:必要事項を記入し、署名または記名押印のうえ、代理店や保険会社に提出する
- 保険料の支払い:現金、口座振替、クレジットカードなどで保険料を支払う
- 契約成立・証券受領:契約が承諾されると保険証券が発行され、補償が開始される
補償開始日は申込書に記載された「契約期間の開始日」となり、保険料の支払いが完了していない場合は補償が適用されません。
更新・解約時の注意点
損害保険の更新や解約時には、補償の空白や手続きの漏れを防ぐため、事前に注意点を把握しておく必要があります。主なポイントは以下の通りです。
- 更新案内が届いたら早めに手続きを行う
- 事業内容や契約内容に変更があれば速やかに保険会社へ連絡する
- 解約時は新旧保険の切替時期に注意し、補償の空白期間を作らない
- 途中解約の場合、保険料の返戻金や手続き方法を事前に確認する
- 解約には所定の書面や手続きが必要な場合がある
これらを守ることで、万が一のトラブル時にも安心して事業を継続できます。特に補償が途切れるリスクを避けるため、更新や解約のタイミングには十分注意しましょう。
損害賠償請求されないために気をつけるべき点
フリーランスが損害賠償請求されると、一気に生活が困窮する事態となる可能性があるため、損害賠償請求されないよう立ち回ることが重要です。
ここでは、損害賠償請求されないために気をつけるべき点について詳しく解説します。
問題を起こさないようにする
損害賠償請求されないためには、問題を起こさないようにするのが最も効果的な対策です。
日頃から使用する機器をメンテナンスし、情報の漏洩や著作権の侵害に注意していれば、過失で損害賠償を負わされる可能性は低いでしょう。
成果物の不備や納期の遅延、業務中・作業中の事故や体調不良による休職も、普段から注意深く対応していれば損害賠償請求を避けられます。
突然の契約解除はどうしようもありませんが、取引先を複数社確保しておくなどあらかじめ対策しておけば生活に困窮することはありません。
損害賠償の範囲・上限を確認しておく
損害賠償請求されないためには、損害賠償の範囲・上限を確認しておくのが望ましいです。
契約を結ぶ段階でクライアントと話し合い、賠償責任の範囲・上限をお互いに定めておけば、後から損害賠償請求で揉めることを避けられます。
契約の段階で詳細を決めておけば、フリーランス側・発注事業者側の双方で争わずに済むでしょう。
損害賠償の内容について交渉しておく
損害賠償の内容について交渉しておけば、損害賠償請求されずに済む可能性があります。
例えば、「損害賠償責任は現実に発生した分に限る」との合意を得ておけば、故意などの事情がなければ、逸失利益(問題が起こらなかった場合に得られたはずの収入)に関して責任を問われません。
フリーランスとして発注事業者と契約する場合は、契約の段階で交渉しておきましょう。
不利な契約でないか確認しておく
フリーランスが発注事業者から業務委託を受ける場合、不利な契約でないか確認しておくことが重要です。
発注事業者によってはフリーランスとの契約で、一方的な条件を提示する場合があります。
仮に偏った条件で契約を結んでしまった場合、後々トラブルが発生した際に片方だけが一方的に責任を負わされかねません。
そのため、発注事業者がフリーランス側にどのような条件を提示しているのか、契約の段階で確認しておくのが良いでしょう。
契約時に納品物の定義を明確にする
損害賠償請求を防ぐためには、契約時に納品物の内容や品質基準、納期などを明確に定義しておくことが重要です。
曖昧な合意では、納品後に「期待と違う」「仕様が満たされていない」などのトラブルが発生しやすくなります。
納品物の定義を明文化する際は、仕様書や成果物のサンプル、納品形式、検収基準などを契約書にしっかり記載しましょう。
納品物の定義を明確にすることで、クライアントとの認識違いを防ぎ、万一トラブルが起きた場合も契約書を根拠に冷静に対応できます。
事前の明確化が、不要な損害賠償リスクを減らす有効な対策です。
万一のトラブルに備えた証拠保存を徹底する
フリーランスは、万が一トラブルが発生した際に備えて、証拠を確実に保存しておく必要があります。証拠として有効なのは、メールやチャットのやり取り、契約書、請求書、納品書などです。
証拠保存のポイントは以下の通りです。
- メールやチャットの履歴を定期的にバックアップする
- 電話でのやり取りは録音や、後からメールで内容を確認する
- 紙の書類はスキャンし、電子データでも保管する
- クラウドや外部ドライブに複数の方法で保存する
これらを徹底することで、トラブル時に自分の正当性を証明しやすくなります。証拠がないと損害賠償請求に対抗できないため、日頃から記録の保存を習慣化しましょう。
損害賠償に関するよくある質問
損害賠償は請求された段階で初めて経験するフリーランスがほとんどであり、何をどうするべきなのかわからないのが普通です。
ここでは、損害賠償に関するよくある質問について詳しく解説します。
損害賠償の金額はどのようにして決まる?
損害賠償の金額は、損害費目ごとに積み上げ方式で計算されます。
フリーランスは、発注事業者に対して故意や過失で損害を与えた場合、損害の規模によって損害賠償の金額が割り出されます。
ただし、合計の損害額が計算された後は、金額が妥当かどうか当事者間で合意が必要です。
著作権侵害の損害賠償はどれくらい?
著作権侵害の損害賠償は、数十万円〜数百万円となる可能性があります。著作権を侵害した場合、侵害品の売上にライセンス料率を乗じた額を損害賠償額とするのが一般的です。
他の状況でも著作権侵害に該当する場合は数十万円〜数百万円単位の損害賠償額が発生する可能性があるため、十分に注意しなければなりません。
損害賠償を払わないとどうなる?
損害賠償を負わされているにもかかわらず払わなかった場合、最終的には裁判所命令により財産の差し押さえなどが執行されます。
加害者に賠償金を支払う意思がないと判断された場合、被害者は裁判所に強制執行を要求できるため、無視することでさらに困窮した事態に陥るでしょう。
損害賠償請求が確定した場合、請求された側は迅速な支払いが必要です。
弁護士費用や法的サポートは保険でカバーできる?
フリーランス向け損害保険の中には、弁護士費用や法的サポートを補償するプランがあります。
弁護士費用保険に加入していれば、相談料や着手金、訴訟費用などが保険金として支払われるため、経済的な負担を大きく軽減できます。
また、保険によっては弁護士紹介サービスが付帯し、適切な専門家にスムーズに相談できる点もメリットです。
ただし、補償の上限や対象範囲は保険会社やプランによって異なるため、契約前に詳細を確認しましょう。弁護士費用保険の活用は、万が一の法的トラブルに備える有効なリスクヘッジとなります。
どんな業種・職種でも加入できる?
損害保険や弁護士費用保険は、基本的に業種や職種を問わず幅広いフリーランスが加入できます。IT、クリエイティブ、コンサルティング、教育、配送、建設など、多様な分野で利用実績があります。
ただし、保険会社によっては一部対象外となる業種や、加入時に本人確認や審査が必要な場合もあるため、事前に条件を確認しましょう。
多くの保険は個人事業主や副業、法人化した小規模事業者も対象となっており、フリーランスのリスク管理に役立ちます。
もしものときのお守りに。損害保険への加入を検討しよう
フリーランスにとって損害保険は、業務上のトラブルや思わぬ損害賠償請求に備えるための重要なリスク対策です。
成果物の不備や納期遅延、情報漏洩、体調不良による休職など、会社員よりも自己責任で対応すべきリスクが多く、万一の際に多額の損害を被る可能性もあります。
損害保険に加入しておけば、賠償請求時の経済的負担を軽減し、取引先の信頼にもつながります。業務内容に応じた補償内容を選び、リスクに備えましょう。
- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修または独自調査(アンケート)に基づいて制作したものです。
- ※掲載している情報は、記事公開時点の法令・税制・商品・サービス等に基づくものであり、将来的に変更される可能性があります。
- ※アンケート調査に関する記述は、特定の調査対象者からの回答結果および編集部の見解を含んでおり、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
- ※記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、すべての方に当てはまるものではありません。個人の状況に応じた具体的な助言が必要な場合は、専門家にご相談ください。
- ※情報の利用や判断、実施については、ご自身の責任で行っていただきますようお願いいたします。
- ※本記事に掲載された内容の転載・複製はご遠慮いただき、引用の際は必ず出典をご明記ください。