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建設業の会社設立完全ガイド|許可取得まで最短2〜4週間で進める7要素設計【2026年版】

建設業の会社設立完全ガイド|許可取得まで最短2〜4週間で進める7要素設計【2026年版】

500万円超の元請工事を直接受注するには、会社設立と建設業許可取得を連続フローで設計することが要となります。

2025年2月施行の特定建設業基準引上げと2026年1月の行政書士法改正を踏まえ、設立から2〜4週間で許可申請まで到達するロードマップを、国土交通省の一次情報をもとに整理しました。

【この記事のまとめ】
  • 建設業の会社設立は「会社設立」と「建設業許可取得」が法律上別の手続きであり、定款の事業目的・資本金・経管・専任技術者など7要素を設立前に同時設計することで、許可申請までの手戻りを防げます。
  • 一般建設業許可には財産的基礎500万円以上が必要で、資本金・預金残高証明書・融資内諾書の3経路で充足でき、資本金を1,000万円未満に抑えることで消費税2期免税の活用余地も生まれます。
  • 2026年1月施行の行政書士法改正により建設業許可申請書の作成代行は行政書士の独占業務と明文化され、無資格業者へ依頼した企業側も両罰規定による処罰対象となる可能性があるため注意が必要です。
INDEX
  1. 建設業で会社設立する5つのメリットと「設立だけで終わらせない」ための前提
  2. 建設業の会社設立で最初に決める「7要素」一覧
  3. 【要素1】定款の事業目的|建設業29業種を踏まえた記載例
  4. 建設業許可申請で問われる「事業目的の記載要件」
  5. 29業種一覧と自社が取得すべき業種の選び方
  6. 具体記載例
  7. 定款認証費用と電子定款で4万円節約する方法
  8. 【要素2】資本金と財産的基礎500万円|純資産・預金残高証明書の3経路
  9. 経路A:純資産500万円以上を資本金で確保する設計
  10. 経路B:預金残高証明書(直近4週間以内)で代替する方法
  11. 経路C:金融機関の融資内諾書を活用するケース
  12. 資本金1,000万円未満による消費税免税の活用余地
  13. 【要素3】経営業務管理責任者(経管)|2020年改正後の補佐人ルートを含む3パターン
  14. 従来ルート:5年以上の経営経験
  15. 補佐人ルート:財務・労務・運営の各5年経験者を補佐人として配置
  16. 個人事業期間の経営経験を法人の経管要件に通算する条件
  17. 経管が役員退任した場合の変更届と空白期間
  18. 【要素4】専任技術者(専技)と営業所ごとに必要な資格・実務経験10年
  19. 国家資格ルートの業種別早見表
  20. 実務経験10年ルートの証明書類
  21. 指定7業種(建築・土木・電気・管・舗装・造園・鋼構造物)の特例
  22. 複数営業所がある場合の専技配置と「常勤性」審査
  23. 【要素5】社会保険完備|建設業許可の必須要件としての健康保険・厚生年金・雇用保険
  24. 法人成立後5日以内の年金事務所への新規適用届
  25. 雇用保険・労災保険の手続き
  26. 一人親方時代からの切替手続き
  27. 労災保険(一人親方労災特別加入)
  28. 【要素6】法人口座開設|新設建設会社がメガバンク審査で苦戦する理由と打開策
  29. 設立1年未満の新設法人がメガバンク審査で苦戦する構造的要因
  30. 法人口座開設が遅れることで生じる入金トラブル
  31. ネット銀行という選択肢
  32. 営業所実態が建設業許可と銀行審査の両方で問われる点
  33. 【要素7】建設業許可申請|知事許可・大臣許可の選択と費用相場
  34. 知事許可と大臣許可の境界
  35. 一般建設業/特定建設業の境界(2025年2月施行:5,000万円/8,000万円基準)
  36. 行政書士報酬の相場(10〜30万円)と内訳
  37. 2026年1月施行 行政書士法改正:申請書作成代行は行政書士の独占業務
  38. 設立から建設業許可申請までの2〜4週間タイムライン
  39. Day1〜Day3:定款作成・公証役場認証・資本金払込
  40. Day4〜Day7:法務局登記申請・印鑑カード・登記事項証明書取得
  41. Day8〜Day10:税務署・都道府県税事務所・年金事務所への各種届出
  42. Day11〜Day14:法人口座開設・コーポレートサイト・営業所整備
  43. Day15〜Day28:建設業許可申請書類整備・自治体窓口提出
  44. 設立費用の全体像|株式会社・合同会社別の最低ライン
  45. 専門家への相談タイミングと費用感|行政書士・税理士・社労士・司法書士の役割分担
  46. 設立前に相談すべき内容
  47. 各専門家の独占業務マップ
  48. ワンストップ相談という選択肢
  49. 建設業の会社設立に関するよくある質問
  50. Q1. 建設業の会社設立にはいくらかかりますか?
  51. Q2. 建設業の資本金はいくらに設定すべきですか?
  52. Q3. 建設業許可なしで会社設立できますか?
  53. Q4. 一人親方の経営経験を経管要件に通算できますか?
  54. Q5. バーチャルオフィスで建設業許可は取得できますか?
  55. Q6. 設立と同時に建設業許可を申請する流れの注意点は?
  56. Q7. 建設業の定款事業目的にはどう書けばよいですか?
  57. Q8. 解体工事業は別途登録が必要ですか?
  58. まとめ:設立2〜4週間で許可申請まで進めるためのチェックリスト
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建設業で会社設立する5つのメリットと「設立だけで終わらせない」ための前提

建設業で会社設立を検討する方の多くは、すでに一人親方や現場代理人として実績を積み、元請からの直接受注機会が見え始めた段階にいます。法人化によって得られる効果は、単なる節税にとどまりません。

第一に、元請・施主・銀行からの信用が一段上がります。とくに公共工事や大手ゼネコンの下請契約では、法人格と建設業許可の有無が選定の最初のフィルターになるケースが少なくありません。第二に、社会保険完備により若手職人の採用ハードルが下がります。第三に、500万円超の工事を継続的に受注できるようになり、年商の上限を取り払えます。第四に、税務面では役員報酬の設計や経費の幅が広がります。第五に、事業承継や法人保険の活用余地が生まれます。

ただし、ここで強調したい前提があります。「会社設立」と「建設業許可取得」は法律上まったく別の手続きであり、設立しただけでは500万円超の工事を受注できる体制にはなりません。建設業法第3条で定められた建設業許可は、会社設立後に都道府県知事または国土交通大臣へ別途申請する手続きです。

そのため、設立と許可申請を連続フローで設計する視点が欠かせません。本記事では、Phase0(設立準備)→Phase1(登記)→Phase2(届出)→Phase3(口座・営業所整備)→Phase4(許可申請)の流れを通して、最短2〜4週間で許可申請まで到達するロードマップを提示します。

【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】

設立だけ済ませて「許可は後で考える」と判断された方の半数が、定款の事業目的の不備で許可申請が半年遅延するケースを、数多く見てきました。設立日を決める前に、許可申請まで見据えた7要素の同時設計をすることが、結果として最短ルートになります。

建設業の会社設立で最初に決める「7要素」一覧

建設業の会社設立を許可申請までスムーズに繋げるためには、以下の7要素を設立前に同時設計しておくことが要となります。

要素 設計内容 関連法令・根拠
定款の事業目的 取得予定業種を29業種から選定し定款に明記 会社法・建設業法第7条
資本金・財産的基礎 500万円以上の財産的基礎を3経路のいずれかで確保 建設業法第7条第4号
経営業務管理責任者 役員に5年以上の経営経験者を配置(補佐人ルートも検討) 建設業法第7条第1号
専任技術者 営業所ごとに国家資格者または実務経験10年以上の者を常勤配置 建設業法第7条第2号
社会保険 健康保険・厚生年金・雇用保険の3保険に加入 建設業許可事務ガイドライン
法人口座 事業実態を示せる金融機関口座を開設 銀行のAML/CFT審査基準
営業所と許可申請 営業所要件を満たした上で知事または大臣許可を申請 建設業法第3条

これら7要素を個別最適化すると、たとえば「定款を作り直す」「役員を再選任する」「資本金を増資する」といった手戻りが発生し、設立日から許可申請までに1〜3か月のロスが生じます。同時設計こそが、設立2〜4週間で許可申請まで到達するための鍵です。

建設業の会社設立で最初に決める「7要素」一覧

ここから1要素ずつ、具体的な設計手順を解説します。

【要素1】定款の事業目的|建設業29業種を踏まえた記載例

定款は会社の根本規則を定める書類で、株式会社の場合は公証役場での認証を経て登記の添付書類になります。建設業の会社設立で最も差し戻しが多いのは、この定款の「事業目的」欄の記載不備です。

建設業許可申請で問われる「事業目的の記載要件」

建設業許可は29業種ごとに分かれているため、取得予定の業種が定款の事業目的に明記されている必要があります。「建設業全般」や「土木建築工事」といった抽象的な記載では、許可申請時に差し戻され、登記の変更(登録免許税3万円+手間)が発生します。

【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】

「建設業全般」とだけ記載して差し戻された案件をよく目にします。許可申請する業種を、定款の段階で明示してください。

29業種一覧と自社が取得すべき業種の選び方

国土交通省が定める建設業29業種は、土木一式・建築一式の2つの「一式工事」と、27の専門工事に大別されます。自社の主力業種をまず1〜2つ選定し、関連業種を段階的に追加する設計が一般的です。

特に注意したいのが「指定7業種」(建築一式・土木一式・電気・管・舗装・造園・鋼構造物)です。これらは専任技術者要件が他の業種より厳格で、実務経験10年だけでは不足し、原則として国家資格保有者が必要とされる業種があります(業種により取り扱いが異なるため詳細は管轄建設業課で確認してください)。

【要素1】定款の事業目的|建設業29業種を踏まえた記載例

具体記載例

定款の事業目的欄に記載する文言の例は以下のとおりです(実際の記載は管轄法務局および建設業課の指導に従ってください)。

  • 内装仕上工事業を営む方の例:「内装仕上工事の請負、施工及び設計に関する業務」
  • 管工事業を営む方の例:「管工事の請負、施工及び保守メンテナンスに関する業務」
  • とび・土工工事業を営む方の例:「とび・土工・コンクリート工事の請負及び施工に関する業務」
  • 建築一式工事を営む方の例:「建築一式工事の請負、施工及び設計に関する業務」

複数業種を取得する見込みがある場合は、それぞれを並列で記載し、末尾に「前各号に附帯する一切の業務」を加える設計が安全です。

定款認証費用と電子定款で4万円節約する方法

株式会社の定款認証には公証人手数料(資本金額に応じて1.5万〜5万円)が必要です。紙の定款で作成する場合は印紙税4万円が追加で発生しますが、電子定款で作成すると印紙税は0円になります。電子定款には電子署名用のマイナンバーカードとICカードリーダーが必要で、行政書士や司法書士に依頼する場合は手数料に含めて対応されるのが一般的です。

出典:法務省「商業・法人登記」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji44.html

【要素2】資本金と財産的基礎500万円|純資産・預金残高証明書の3経路

一般建設業の許可要件には「財産的基礎または金銭的信用」として、500万円以上の資金を有することが定められています(建設業法第7条第4号)。この要件を満たす経路は実質的に3つあります。

経路A:純資産500万円以上を資本金で確保する設計

最も分かりやすい方法は、資本金を500万円以上に設定し、貸借対照表の純資産の部で500万円以上を確保する設計です。設立直後の決算書がない時点では、資本金額がそのまま純資産として扱われる運用が一般的です。

経路B:預金残高証明書(直近4週間以内)で代替する方法

資本金を500万円まで積み上げるのが難しい場合、預金残高証明書で代替する方法があります。許可申請日の直前4週間以内に金融機関で発行された残高証明書で、500万円以上の預金が確認できれば財産的基礎要件を満たすと判断されるケースが一般的です。

ただし、自治体ごとに「4週間以内」の解釈や、複数口座の合算可否などに差があるため、申請前に管轄建設業課への確認が要となります。

経路C:金融機関の融資内諾書を活用するケース

一部の自治体では、金融機関からの融資内諾書(500万円以上の融資実行が確実であることを示す書面)でも財産的基礎要件を満たすと判断するケースがあります。日本政策金融公庫の新創業融資制度を活用するパターンが代表例ですが、運用は自治体により異なるため、こちらも事前確認が要です。

資本金1,000万円未満による消費税免税の活用余地

資本金を1,000万円未満に抑えると、原則として設立初年度から2期目までの消費税納税義務が免除されます(インボイス制度との関係で個別判断が必要なため税理士への相談を推奨)。建設業の場合は500万円〜999万円の範囲で資本金を設定し、財産的基礎要件と消費税免税を両立させる設計が一般的です。

【要素2】資本金と財産的基礎500万円|純資産・預金残高証明書の3経路

出典:国土交通省「建設業の許可の要件」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html

【要素3】経営業務管理責任者(経管)|2020年改正後の補佐人ルートを含む3パターン

経営業務管理責任者(以下、経管)は、建設業の経営を統括する責任者として、建設業許可の根幹をなす要件です。2020年10月の建設業法施行規則改正で、従来の単独要件に加えて補佐人ルートが整備されました。

従来ルート:5年以上の経営経験

最も一般的なのは、役員(株式会社の取締役・合同会社の業務執行社員等)または個人事業主として、建設業の経営を5年以上経験した者を経管として配置するルートです。前職での役員経験や、個人事業主時代の確定申告書(建設業の事業所得を5年以上申告)を証明書類として提出します。

補佐人ルート:財務・労務・運営の各5年経験者を補佐人として配置

経営経験が5年に満たない場合や、複数人の経営チームで法人を立ち上げる場合に活用できるのが補佐人ルートです。代表者本人(常勤役員)は、建設業に関し2年以上の役員経験を有し、かつ財務管理・労務管理・業務運営のいずれかの業務を担当する役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者として5年以上の経験を有すること(国交省ガイドライン4-1による)で、経管要件を満たす設計です。

【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】

補佐人ルートは制度として整備されましたが、自治体ごとに必要書類や運用解釈に差があります。とくに補佐人の常勤性をどう証明するか(雇用契約書・給与台帳・出勤簿)の指導が分かれるため、事前確認が要です。

個人事業期間の経営経験を法人の経管要件に通算する条件

一人親方や個人事業主として建設業を営んでいた期間も、確定申告書・工事請負契約書・請求書控などで実態を証明できれば、経管要件の経営経験5年に通算できる運用が一般的です。証拠書類を5年分そろえる作業は時間がかかるため、設立準備の早い段階で着手することをおすすめします。

経管が役員退任した場合の変更届と空白期間

経管である役員が退任すると、その時点で許可要件を欠くことになります。新たな経管を選任した上で2週間以内に変更届を提出する必要があり、空白期間が生じると許可取消しのリスクがあります。複数人の役員体制を組むか、補佐人ルートを併用して冗長性を確保する設計が安全です。

【要素3】経営業務管理責任者(経管)|2020年改正後の補佐人ルートを含む3パターン

出典:e-Gov「建設業法」https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100

【要素4】専任技術者(専技)と営業所ごとに必要な資格・実務経験10年

専任技術者は、営業所ごとに常勤で配置する技術責任者で、業種ごとに国家資格または実務経験で要件を満たします。

国家資格ルートの業種別早見表

代表的な国家資格と対応業種は以下のとおりです。

国家資格 対応業種の例
1級・2級建築施工管理技士 建築一式・大工・内装仕上ほか
1級・2級土木施工管理技士 土木一式・とび土工・舗装ほか
1級・2級管工事施工管理技士 管工事業
1級・2級電気工事施工管理技士 電気工事業
一級・二級建築士 建築一式・大工ほか
技術士(建設部門ほか) 土木・建築ほか各業種

業種と資格の対応関係は国土交通省のガイドラインで詳細に定められているため、申請前の確認が要です。

実務経験10年ルートの証明書類

国家資格を持たない場合は、対象業種について10年以上の実務経験を証明することで専技要件を満たせます。証明には工事経歴書、工事請負契約書、注文書・請書、請求書・領収書控などを年度ごとにそろえる必要があり、書類保管が不十分だと立証が困難になるケースもあります。

指定7業種(建築・土木・電気・管・舗装・造園・鋼構造物)の特例

指定7業種では、実務経験のみで専技要件を満たすには「指導監督的実務経験2年以上」を含む条件が課されるなど、他業種より厳格な扱いとなる場合があります。建築一式や土木一式の取得を目指す場合は、原則として国家資格者の配置を前提に設計するのが現実的です。

複数営業所がある場合の専技配置と「常勤性」審査

営業所が複数ある場合は、それぞれに専技を常勤配置する必要があります。常勤性は、雇用契約書・社会保険被保険者証・出勤簿・給与台帳などで審査されます。役員兼務の場合でも、他社との兼業が問題視されるケースがあるため、申請前の整理が要です。

【要素5】社会保険完備|建設業許可の必須要件としての健康保険・厚生年金・雇用保険

2020年10月の建設業法改正以降、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の加入は建設業許可の必須要件として位置づけられました。

法人成立後5日以内の年金事務所への新規適用届

法人を設立すると、強制適用事業所として健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生します。「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を、法人成立日から5日以内に管轄の年金事務所へ提出する必要があります。

この5日以内ルールは見落とされやすく、設立直後の手続きラッシュの中で後回しになりがちです。届出が遅れると遡及して保険料が徴収されるため、設立日と同時にスケジュールに組み込んでおくことが要となります。

雇用保険・労災保険の手続き

従業員を1人でも雇用する場合は、雇用保険適用事業所設置届をハローワークへ、労働保険成立届を労働基準監督署へ、いずれも雇用開始から10日以内に提出します。

一人親方時代からの切替手続き

一人親方として国民健康保険・国民年金に加入していた方は、法人成立後に健康保険・厚生年金へ切り替わります。市区町村役場での国民健康保険喪失手続きも忘れずに行ってください。

労災保険(一人親方労災特別加入)

代表者本人や役員のみで現場作業に従事する場合、通常の労災保険は適用されないため、一人親方労災特別加入制度の活用が選択肢となります。建設業の労災加入率と現場入場可否は元請の管理基準にも関わるため、設立時に整理しておくことを推奨します。

出典:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険の手続き」https://www.nenkin.go.jp/

【要素6】法人口座開設|新設建設会社がメガバンク審査で苦戦する理由と打開策

会社を設立した直後、多くの建設業経営者が直面するのが法人口座開設のハードルです。

設立1年未満の新設法人がメガバンク審査で苦戦する構造的要因

メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)は、金融庁のマネーロンダリング対策指針(2019年以降)を受けて、新設法人の口座開設審査を厳格化しています。設立1年未満・取引実績なし・資本金300万円以下といった条件が重なると、申込書段階で受付不可となるケースも珍しくありません。

法人口座開設が遅れることで生じる入金トラブル

建設業の場合、元請からの工事代金は法人口座への振込が原則です。口座開設が登記から1か月以上遅れると、元請への請求書発行ができず、最初の入金が翌月以降にずれ込むケースがあります。資金繰りが立ち上がる前に下請けや材料費の支払いが先行すると、運転資金が一気に圧迫されます。

ネット銀行という選択肢

近年は、新設法人やバーチャルオフィス利用者を積極的に受け入れるネット銀行が、創業期の事業者から選ばれています。たとえばネット銀行は、オンライン完結で最短即日〜2週間程度での口座開設に対応しており、設立1年未満の法人を対象に月20回までの他行宛振込手数料無料の特典も用意されています(条件・適用範囲は公式サイトで最新情報をご確認ください)。

【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】

「会社を作ったのに振込ができない」という最初の壁を回避するために、メガバンクとネット銀行の両方で申し込み、入金スピードを担保する設計を選ばれる方が増えています。

営業所実態が建設業許可と銀行審査の両方で問われる点

ここで注意したいのが、建設業許可では「営業所の実態」(電話・FAX・看板・専任技術者の常勤)が審査されるという点です。バーチャルオフィスのみで建設業許可を取得することは、自治体によって判断が分かれます。

法人口座開設だけならネット銀行+バーチャルオフィスの組み合わせで進められますが、建設業許可の営業所要件は別途、実体ある事務所スペース(自宅の一室を含む)を確保する設計が現実的です。管轄の都道府県建設業課に「自宅の一室での営業所登録の可否」を事前確認しておくことを強く推奨します。

【要素7】建設業許可申請|知事許可・大臣許可の選択と費用相場

設立後の最終ステップが、建設業許可申請です。

知事許可と大臣許可の境界

営業所が1つの都道府県内のみにある場合は都道府県知事許可、複数の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣許可となります。多くの新設法人は、まず本店所在地のある都道府県の知事許可から取得します。新規申請手数料は知事許可で9万円、大臣許可で15万円が一般的です。

一般建設業/特定建設業の境界(2025年2月施行:5,000万円/8,000万円基準)

下請発注金額の合計が一定額以上になる工事を元請として受注する場合は、特定建設業の許可が必要です。2025年2月1日施行の改正により、特定建設業が必要となる下請契約金額の基準が引き上げられました。

  • 建築一式工事:従来7,000万円 → 8,000万円
  • それ以外の業種:従来4,500万円 → 5,000万円

新設法人の多くは、まず一般建設業の許可から取得し、事業規模の拡大に応じて特定建設業へ切り替える設計が一般的です。特定建設業の許可要件は、資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上・専任技術者は原則として1級国家資格者など、一般建設業より大幅に厳格化されます。

【要素7】建設業許可申請|知事許可・大臣許可の選択と費用相場

行政書士報酬の相場(10〜30万円)と内訳

建設業許可申請を行政書士に依頼する場合の報酬相場は、新規・知事許可で10〜20万円、新規・大臣許可で20〜30万円が一般的です。書類作成代行・自治体への提出代行・補正対応までを含みます。事務所により料金体系が異なるため、複数の見積を取って比較する方が安心です。

2026年1月施行 行政書士法改正:申請書作成代行は行政書士の独占業務

2026年1月1日施行の行政書士法改正で、「いかなる名目(コンサルティング料・手数料等)によるかを問わず報酬を得て官公庁提出書類の作成を代行する行為は行政書士の独占業務」と明文化されました。さらに両罰規定が強化され、無資格者へ依頼した企業側も処罰対象となる可能性があります。

【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】

「コンサル料で建設業許可申請をまるっと代行します」と謳う無資格業者への依頼は、依頼者側にとっても法的リスクです。書類の書き方の助言(添削)は行政書士資格不要ですが、申請書の作成代行は別物。発注前に必ず受任者の行政書士登録番号を確認することをおすすめします。

出典:総務省「行政書士制度」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/gyouseishoshi/index.html

設立から建設業許可申請までの2〜4週間タイムライン

ここまで解説した7要素を踏まえ、設立から許可申請までの実務スケジュールをDay別に整理します。

設立から建設業許可申請までの2〜4週間タイムライン

Day1〜Day3:定款作成・公証役場認証・資本金払込

  • 行政書士または司法書士と打ち合わせ、定款の事業目的を確定
  • 電子定款を作成し、公証役場でオンライン認証(株式会社の場合)
  • 発起人個人口座へ資本金を払込み、払込証明書を作成

Day4〜Day7:法務局登記申請・印鑑カード・登記事項証明書取得

  • 法務局へ設立登記を申請(申請日が会社設立日)
  • 登記完了後、印鑑カード・登記事項証明書・印鑑証明書を取得

Day8〜Day10:税務署・都道府県税事務所・年金事務所への各種届出

  • 税務署:法人設立届出書・青色申告承認申請書・給与支払事務所等開設届出書
  • 都道府県税事務所・市区町村役場:法人設立届出書
  • 年金事務所:健康保険・厚生年金保険新規適用届(法人成立後5日以内)
  • 労働基準監督署・ハローワーク:従業員雇用がある場合(雇用開始後10日以内)

Day11〜Day14:法人口座開設・コーポレートサイト・営業所整備

  • 法人口座開設申込(メガバンクとネット銀行の併願を推奨)
  • コーポレートサイト公開(独自ドメイン+会社概要・事業内容・所在地・問い合わせ)
  • 営業所の看板設置・固定電話・FAX回線の整備

Day15〜Day28:建設業許可申請書類整備・自治体窓口提出

  • 経管・専技の証明書類整備(経歴書・契約書・実務経験証明書)
  • 財産的基礎を証明する書類整備(残高証明書・決算書または資本金額)
  • 社会保険加入証明書類の整備
  • 営業所写真の撮影(看板・室内・固定電話)
  • 申請書類一式を管轄の都道府県建設業課へ提出

審査期間は知事許可で標準30日〜45日、大臣許可で90日〜120日が一般的です。書類完備の前提で、設立から許可取得までトータル2〜4か月の設計となります。

設立費用の全体像|株式会社・合同会社別の最低ライン

会社設立そのものにかかる費用の目安は以下のとおりです(行政書士・司法書士報酬は別途)。

項目 株式会社 合同会社
定款認証手数料 1.5万〜5万円 不要
定款印紙税(電子定款の場合) 0円 0円
登録免許税 15万円〜 6万円〜
登記事項証明書・印鑑証明書 5,000〜10,000円 5,000〜10,000円
小計(最低ライン) 約20万円〜 約7万円〜

建設業界では、信用力の観点から株式会社を選択する経営者が多数派ですが、合同会社でも建設業許可の取得自体は可能です。設立コストを抑えて早期に許可取得まで進めたい場合は合同会社、元請や金融機関との取引で信用力を優先する場合は株式会社という判断軸が一般的です。

なお、小規模事業者持続化補助金などの中小企業庁所管の補助金は、申請書の書き方の助言は行政書士以外でも可能ですが、申請書作成の代行は2026年1月改正以降、行政書士の独占業務に明文化された点に注意が必要です。

専門家への相談タイミングと費用感|行政書士・税理士・社労士・司法書士の役割分担

建設業の会社設立では、複数の専門家の関与が前提となります。

設立前に相談すべき内容

  • 会社形態(株式会社・合同会社)の選択
  • 資本金の設定額と財産的基礎要件の充足経路
  • 定款の事業目的の記載と業種選定
  • 経管・専技の人材確保と補佐人ルートの可否
  • 営業所要件と建設業許可の地域別運用差

各専門家の独占業務マップ

専門家 主な独占業務 建設業設立フローでの役割
司法書士 会社設立登記の代行 法務局への設立登記申請
行政書士 官公庁提出書類の作成代行 建設業許可申請書の作成・提出代行
税理士 個別税務相談・税務書類作成 法人設立届出書・青色申告承認申請書
社会保険労務士 労働社会保険関連書類の作成代行 健康保険・厚生年金・雇用保険の手続き

これらを別々の事務所に依頼すると、情報連携のロスや費用の合計が膨らみがちです。とくに「補佐人ルートの可否」「営業所のバーチャルオフィス利用」など、複数の専門領域がまたがる論点は、ワンストップで相談できる窓口があると判断が早まります。

ワンストップ相談という選択肢

「誰に何を聞けばいいか分からない」という悩みは、建設業設立を初めて行う方ほど強くなります。税理士・社会保険労務士・行政書士・CFPなど複数資格を保有する専門家チームに、起業の窓口 byGMO(https://kigyo.gmo/)経由で1時間の無料相談ができる窓口(V-Spirits)があります。会社形態の選択から経管要件の整理、許可申請を担当する行政書士の紹介まで、最初のロードマップを一度の相談で描けるため、設立準備の初動として活用される方が増えています。

【起業の窓口編集部からのワンポイントアドバイス】

建設業許可申請書の作成代行は行政書士の独占業務です。V-Spiritsでは助言・添削レベルのサポートと、提携行政書士による申請書作成代行の橋渡しの両方に対応されていますが、最新のサービス範囲は公式サイトでご確認ください(https://v-spirits.com/)。

建設業の会社設立に関するよくある質問

Q1. 建設業の会社設立にはいくらかかりますか?

A. 株式会社の場合、登録免許税15万円・定款認証手数料1.5〜5万円・電子定款手数料などで、最低約20万円〜が一般的な目安です。建設業許可申請手数料9万円(知事許可)と行政書士報酬10〜30万円を加えると、設立から許可取得までトータル40〜70万円程度が標準的なレンジとなります。

Q2. 建設業の資本金はいくらに設定すべきですか?

A. 一般建設業の財産的基礎要件500万円を資本金で確保する場合は500万円以上、消費税免税の活用を優先する場合は1,000万円未満が一般的です。特定建設業を将来的に取得する見込みがあれば、資本金2,000万円以上を視野に入れた設計が必要となります。

Q3. 建設業許可なしで会社設立できますか?

A. 会社設立そのものは建設業許可がなくても可能です。ただし、許可なしでは1件あたり500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満または150㎡未満の木造住宅)の「軽微な工事」のみしか受注できません。500万円以上の工事を受注する見込みがある場合は、設立と同時に許可申請を進める設計が要です。

Q4. 一人親方の経営経験を経管要件に通算できますか?

A. 個人事業主として建設業を5年以上経営した実績は、確定申告書・工事請負契約書・請求書控などで証明できれば、法人の経管要件に通算できる運用が一般的です。書類のそろえ方は自治体により異なるため、管轄の建設業課で事前確認をおすすめします。

Q5. バーチャルオフィスで建設業許可は取得できますか?

A. 建設業許可では営業所の実態(電話・FAX・看板・専任技術者の常勤・接客スペース)が審査されるため、バーチャルオフィスのみでの許可取得は自治体により判断が分かれます。法人登記・法人口座開設までならバーチャルオフィスでも対応できますが、建設業許可の営業所は実体ある事務所スペースを別途確保する設計が現実的です。

Q6. 設立と同時に建設業許可を申請する流れの注意点は?

A. 定款の事業目的に取得予定業種を明記する、経管・専技の証明書類を設立前に整備する、財産的基礎500万円を確保する、社会保険加入手続きを5日以内に行う、の4点が要です。これらを設立準備段階で同時設計しておくと、設立後の差し戻しを防げます。

Q7. 建設業の定款事業目的にはどう書けばよいですか?

A. 取得予定業種を29業種から選定し、「内装仕上工事の請負、施工及び設計に関する業務」のように具体的に記載するのが基本です。複数業種を取得する見込みがある場合は並列で記載し、末尾に「前各号に附帯する一切の業務」を加える設計が一般的です。

Q8. 解体工事業は別途登録が必要ですか?

A. 解体工事業は2016年6月から建設業29業種の独立業種として新設されました。建設業許可(解体工事業)を取得していれば追加登録は不要ですが、許可未取得で軽微な解体工事のみを行う場合は、建設リサイクル法に基づく「解体工事業登録」が別途必要となります。

まとめ:設立2〜4週間で許可申請まで進めるためのチェックリスト

建設業の会社設立を成功させる鍵は、「設立だけで終わらせない」設計にあります。本記事で解説した7要素を、設立前の段階で同時に押さえておくことが、最短ルートへの近道です。

最後に、設立2〜4週間で建設業許可申請まで到達するためのチェックリストを再掲します。

  • [ ] 定款の事業目的に、取得予定業種を29業種から選定して明記したか
  • [ ] 資本金または預金残高証明書で財産的基礎500万円を確保したか
  • [ ] 経管要件を従来ルートまたは補佐人ルートで充足できる人員配置を確定したか
  • [ ] 営業所ごとに専任技術者を常勤配置できるか確認したか
  • [ ] 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入手続きをスケジュールに組み込んだか
  • [ ] 法人口座開設(メガバンク+ネット銀行併願)を設立日から逆算したか
  • [ ] 営業所要件を管轄の都道府県建設業課に事前確認したか

「何から始めればいいか分からない」と感じたら、まず1時間の無料相談から始めるのも一つの選択肢です。専門家への相談を起点に、一次情報(国土交通省・e-Gov・総務省)を常時確認しながら、受注機会を逃さないスケジュールを設計してください。

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記事監修
 起業の窓口 編集部
「起業の窓口」編集部は、GMOインターネットグループが運営する起業支援メディア「起業の窓口」にて、起業家やこれから起業を目指す方々に向けて、有益で信頼性の高い情報を提供する専門チームです。会社設立、資金調達、補助金・助成金、税務・法務、マーケティング、IT活用など、起業にまつわる幅広いテーマを網羅し、実務に役立つノウハウや最新トレンドをわかりやすくお届けしています。

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