【株式会社アクティブ アンド カンパニー】奨学金バンクを社会インフラへ!不可能を疑う経営マインドの真髄

人事コンサルティング・人事管理システム・社員研修など、企業の人と組織にまつわる課題解決を起点に事業を展開する『株式会社アクティブ アンド カンパニー』の代表取締役社長、大野順也さん。
大学卒業後、『株式会社パソナ(現パソナグループ)』に入社した大野さんは、営業・営業推進・営業企画で業務経験を積み、グループ会社の立ち上げにも携わりました。その後、『トーマツコンサルティング株式会社(現・デロイト トーマツ コンサルティング株式会社)』に転職し、組織・人事戦略の専門コンサルタントとして活動。
そして、2006年に『株式会社アクティブ アンド カンパニー』を創業し、代表取締役社長に就任しました。2024年には、奨学金返済の支援を通じて持続可能な就学・就業サイクルを生み出す、日本初のプラットフォーム『奨学金バンク』をローンチ。
現在、組織・人事領域のコンサルティングや奨学金返済支援サービスを起点とし、企業課題・社会課題の解決に向き合う大野さんに、起業までの道のりや経営者として大切にしているマインドなどをお伺いしました。
- 大野順也さんのご経歴
- 躍動感溢れる未来を創造する『アクティブ アンド カンパニー』
- ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
- 営業職から始まり、そしてコンサルティングの世界へ
- ー学生時代から起業や会社経営に憧れていたのでしょうか?
- ー株式会社パソナでの社会人経験と成長体験をお聞かせください。
- 経営と現場の”ギャップ”を埋める。それが重要なテーマだった
- ートーマツコンサルティング株式会社に転職された理由をお聞かせください。
- ートーマツコンサルティング株式会社では、どのような経験を積まれたのでしょうか?
- 『組織・人材・人事』に特化したコンサルティングに強い使命感を感じた
- ー株式会社アクティブ アンド カンパニーのビジネスモデル構築において、どのようなアイデアがあったのでしょうか?
- ー起業当初、日本の人材市場に対してどのような可能性を感じていたのでしょうか?
- パソナ時代の経験を糧に、起業準備を全て自分で進めた
- ー起業を決意したあと、どのような課題を乗り越える必要がありましたか?
- ー起業準備を自分で主体的に進めたことで、どんなメリットを感じましたか?
- 本気で答えを出そうとしなければ、経営ノウハウは身につかない
- ー起業前に経営ノウハウや成功事例などを学ぶ機会はありましたか?
- 企業と個人の“成長の接点”を創るのが『アクティブ アンド カンパニー』
- ー株式会社アクティブ アンド カンパニーの企業理念とミッションをお聞かせください。
- 社会のインフラとして『奨学金バンク』を育てていきたい
- ー御社のサービス「奨学金バンク」の特徴についてお聞かせください。
- ー「奨学金バンク」の認知拡大において、特に力を入れたアプローチとは何でしょうか?
- ”リカレント教育”の可能性と未来の道筋
- ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
- 今日は”今までの結果”。明日は”今が創る”
- ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
- ー組織と社員の成長を促すために心がけていることはありますか?
- ー株式会社アクティブ アンド カンパニーとご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
- “経験”こそ経営者の財産。誰にも見れない景色がそこにある
- ー経営者になって良かったと思えたことをお聞かせください。
- ー経営者を目指す上で大切な要素とは何でしょうか?
- “善悪”で物事を判断すれば、自然と応援してくれる人が集まる
- ー起業を目指している読者にメッセージをお願いします
- 起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
大野順也さんのご経歴
- 1998年:『株式会社パソナ(現パソナグループ)』に新卒で入社。営業部を経験後、営業推進室・営業企画部門を歴任。同社の関連会社の立ち上げにも携わる。
- 2004年:『トーマツコンサルティング株式会社(現デロイトトーマツ コンサルティング株式会社)』にて、組織・人事戦略コンサルティングに従事。
- 2006年:『株式会社アクティブ アンド カンパニー』を創業し、代表取締役社長に就任。組織・人事の領域において、人事制度構築コンサルティング・教育研修・人事管理システム等のサービスを提供している。
- 2024年3月1日:日本初の奨学金返済支援サービス『奨学金バンク』をローンチ。
躍動感溢れる未来を創造する『アクティブ アンド カンパニー』

ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
『株式会社アクティブ アンド カンパニー』という会社を経営しています。
主な事業内容は、組織・人事領域のコンサルティングおよびソリューションサービスの提供です。
社名のアクティブ アンド カンパニーは、企業理念である「躍動感溢れる未来を創造する」という考え方に基づいています。
アクティブは「躍動感」という意味があり、カンパニーには「会社」だけではなく、「人の集まり」や「仲間の集まり」という意味が含まれています。「躍動感を持った人たちが集まる会社を創る」という想いを込めて、『アクティブ アンド カンパニー』という社名を採用しました。
営業職から始まり、そしてコンサルティングの世界へ
ー学生時代から起業や会社経営に憧れていたのでしょうか?
学生の頃は起業に憧れていたというよりも、「まず営業を徹底的にやってみよう」と考えて社会に出たのが正直なところです。
最近では、学生起業家やベンチャー志向を持つ若い世代が増えてきましたよね。アクティブ アンド カンパニーは20年前に創業した会社ですが、当時はまだベンチャー文化が浸透していなかったんです。
人材業を行う『株式会社パソナ(現パソナグループ)』に入社した理由は、人の数だけビジネスがあるということは、それだけ市場が大きいと思ったからです。
ー株式会社パソナでの社会人経験と成長体験をお聞かせください。
パソナには1998年から通算6年ほど在籍していました。最初の3年間は営業を担当し、責任者として活動していました。その後は営業推進室に異動し、名古屋以西のエリアを中心としたコンサルティング案件や大規模案件、さらにはグループ会社の立ち上げといった仕事にも関わらせていただきました。
当時は、こうした案件をほぼ一人で担当していたこともあり、自分自身が一番成長できた時期だったと感じています。成果と責任は求められましたが、理念や方向性に沿っていれば、比較的自由に動ける社風だったと思います。その「自由度の高さ」と「責任の重さ」のバランスが、自分を大きく成長させてくれた要因でした。
パソナでは、グループ会社の立ち上げにも関わる機会がありました。これは、まさに「起業体験」のようなもので、会社を立ち上げる際に必要な手続きや、事業を動かすうえで考えるべきことなどを、実践の中で学ばせてもらいました。パソナでのこの経験が、のちの起業につながる土台になったと思っています。
パソナは2004年に退社し、その後、トーマツコンサルティング株式会社(現デロイトトーマツ コンサルティング株式会社)に転職しました。
経営と現場の”ギャップ”を埋める。それが重要なテーマだった
ートーマツコンサルティング株式会社に転職された理由をお聞かせください。
パソナに入社した当時は、本当に社会貢献性の高い会社だと感じていました。
特に、結婚や出産を経て再び働きたいと考えている主婦層を、派遣業を通じて支援することは、女性の社会進出を目的としており、非常に社会的意義のあることだと考えています。
しかし、実際に営業として現場に出てクライアントとやり取りをするなかで、さまざまな要望や価値観に触れ、市場の実情を知るようになり、社会の構造的な課題や雇用のあり方について考える機会が増えていきました。そうした中で感じたのが、「労働そのものの価値」や「生産性」といったテーマへの関心です。
働く人がもっとやりがいを持って、継続的に成長できるような仕組みはどうあるべきか。人材サービスに携わる立場として、より深く向き合いたいという思いが強くなっていきました。
また、雇用を管理する立場として、経営と現場の間に生まれるギャップを感じる場面が多々ありました。どちらも会社を良くしようという思いは同じはずなのに、なぜうまく噛み合わないのか、なぜ成果につながらないのか。そのギャップをどう埋めていくかが、企業の成長には欠かせないと感じたんです。
当時の私は、人材のマッチングという領域を越えて、「もっと組織全体に踏み込んだ支援をしていきたい」と考えるようになりました。その想いを実現できる手段としてたどり着いた答えが、『コンサルティング』です。
そして、その中でも人と組織に深く向き合える環境として、トーマツコンサルティングへの転職を決意しました。
ートーマツコンサルティング株式会社では、どのような経験を積まれたのでしょうか?
多くのプロジェクトに関わらせていただきましたが、特に印象的だったのは、「業務改善によって残業を減らす」といったテーマの案件です。実際に業務の見直しや管理方法を工夫することで、生産性を保ちながら残業を削減できる。そういった成果が出せると、お客様にも非常に喜ばれましたし、自分たちの仕事の価値を実感できる場面でもありました。
少し角度は違いますが、大手外資系ホテルチェーンの日本法人で、本社が運用している人事制度のローカライズ支援を行ったプロジェクトも印象に残っています。グローバル本社が設計した制度は、理屈としては非常に優れていても、そのまま日本に導入しても機能しないことがあるんですよね。
経営と現場のギャップがあってうまくいかない。そこを、いかに機能する人事の仕組みにして現場に落とし込んでいくか――それが自分たちの役割であり、そこにこそ本質的な価値があると感じました。
この「現場と経営のギャップを埋める」というテーマは、実はパソナ時代からずっと感じていたことでもあります。パソナでは、最初の3年は現場で営業をしていましたが、後半の3年は経営層に近い立場で仕事をしていました。
だからこそ、経営と現場、双方の声を聞く機会があって、「どちらの言っていることも正しいのに、なぜうまくかみ合わないのか」と疑問を抱くようになったんです。
この構造的なギャップに向き合い、橋渡しをしていくことができれば、組織はもっと良くなる。そういう想いから、2006年に『株式会社アクティブ アンド カンパニー』を立ち上げました。
『組織・人材・人事』に特化したコンサルティングに強い使命感を感じた

ー株式会社アクティブ アンド カンパニーのビジネスモデル構築において、どのようなアイデアがあったのでしょうか?
かねてから、”人材”を領域とした事業を考えていました。パソナに入社した理由と同様に、「最も市場規模が大きい領域ではないか」と感じていたからです。
企業がある限り、必ずそこには“人”が存在する。つまり、企業の数だけ人の課題があって、それを解決するサービスには継続的なニーズがあると考えました。
当時は、今のようにAIや仮想空間のビジネスが注目される前でしたが、それでも“人”に関わる領域は社会の根幹を支えるテーマだったんです。私は、人材派遣からコンサルティングまで幅広い領域を経験してきたので、『人材・組織・人事』というテーマなら「柔軟な発想と実行力をもってビジネスをつくれる」と感じました。
そして、最終的に自分が一番やりたかったコンサルティングサービスを選んだという背景があります。
何より、初期投資が比較的少なく、自分の人的リソースだけでも立ち上げが可能だった点も大きな理由でした。
ー起業当初、日本の人材市場に対してどのような可能性を感じていたのでしょうか?
もう一つの大きな視点として、「日本の成長資源は“人”である」と捉えていました。
日本は資源の乏しい国ですが、戦後の高度成長を支えたのは人材と技術力だったんです。これからの時代も「人の力を最大化することで経済全体が伸びていく」と信じています。だからこそ、“組織・人材・人事”という3つの切り口でサービスを展開することに、強い意義を感じました。
さらに注目したのが、中堅・中小企業の可能性です。 大手企業はすでに人事制度も整備されていて、外部のコンサルティングサービスを活用しているケースが多いです。しかし、中堅・中小企業、特に従業員が100〜1,000名規模の企業では、まだまだ人事に手が届いていないところが多いと感じていました。採用や教育で止まってしまい、制度設計や組織づくりまで踏み込めていない会社が数多くあるんですよ。
そうした企業の人事を整えてしっかり機能させることで、組織の規模は拡大し、成果も飛躍的に向上する可能性があります。そういった企業の“成長ドライバー”となることが、アクティブ アンド カンパニーのビジネスモデルの根幹であり、今も変わらない使命だと思っています。
パソナ時代の経験を糧に、起業準備を全て自分で進めた
ー起業を決意したあと、どのような課題を乗り越える必要がありましたか?
定款の作成から始まり、資本金の準備、登記に必要な書類の整理、公証人役場への提出まで、全て自分でやりました。 というのも、パソナ在籍時にグループ会社の立ち上げを任された経験があったので、その時に一通りの流れを実務で経験していたんですよ。
経理や財務に稟議書を回して資本金を申請し、役員の印鑑証明を集め、役所に必要書類を確認して、定款の文言もテンプレートを見ながら一つひとつ意味を確認して整えていく――当時は27歳くらいで、わからないことだらけでしたが、自分の手で一つの会社をつくる流れを実践していました。
事業計画書の作成や資金管理についても、パソナで培った経験を頼りに準備を進めましたし、あの頃の経験がアクティブ アンド カンパニーを立ち上げる際にものすごく活きたと思います。
ー起業準備を自分で主体的に進めたことで、どんなメリットを感じましたか?
基本的に、「まずは自分でやった方がいい」と考えています。専門家に任せる選択肢もありますが、それは“中身をしっかり理解したうえで任せる”という前提があってこそだと思うんです。
たとえば起業時には、定款を作るとか、出資を受けるとか、補助金・助成金を申請するといった様々な手続きが発生しますよね。 そういうときに「定款って何?」とか「とりあえず社労士さんにお願いしておけば大丈夫」と、内容を把握しないまま進めてしまうと、後々トラブルになったり、余計な税金を払ったり、やるべきことが漏れていたりするリスクがあるんです。
だからこそ、「まず自分自身がある程度すべてを理解していること」が前提だと思っています。そのうえで、時間がなければ外部に任せればいいし、お金がなければ自分でやればいい。そこはリソースのバランスを考えて、慎重に判断すべきだと思います。
本気で答えを出そうとしなければ、経営ノウハウは身につかない

ー起業前に経営ノウハウや成功事例などを学ぶ機会はありましたか?
これは個人的な考えですが、「経営ノウハウを学ぼう」と思っているうちは、本当の意味では学べないんじゃないかと思っています。 気づいたら身についていた――そういうものじゃないかと。
私自身、子会社の立ち上げを経験したとき、事業計画を策定したり、競合戦略を考えたりしました。とはいえ、フレームワークに沿って分析したわけでも、PPMを体系的に学んだわけでもないんですよ。分からないことがあれば、自分で調べるか、信頼できる人に聞いていました。お付き合いのあった経営者の方から直接アドバイスをいただくこともありましたね。
つまり、ノウハウというのは、必要な局面に直面して“本気で答えを出そう”としたときにこそ、自然と身についていくものなんです。
学ぶチャンスというのは、常に身の回りにあると思います。昔と比べて経営を学べる本もたくさんありますよね。ただ、そうした情報も、「日常的に関心を持って、触れているかどうか」で大きく変わります。
いざ起業しようと思ったときに急に勉強を始めても、それは“絵に描いた餅”に近い。だからこそ、普段から自分の意識を向けているかどうかが重要だと思うんです。
私も当時、関西に住んでいたころに、大阪府の起業セミナーに参加したことがあります。正直、そのときは「何を言っているのか全然わからないな」と思いながら聞いていました(笑)。でも、あとになって「ああ、あのとき言っていたのはこのことか」とつながる場面があったんですよね。
周りに経営者がいないから学べない、という声もよく聞きますが、それは自分の意識の持ち方次第だと思います。自分が何を目指しているのかが明確になれば、自然と情報も人も引き寄せられてくるものですから。
偶然に学べるものなんてありません。経営を学びたいなら、自分の意思で取りに行く。そこに尽きると思います。
企業と個人の“成長の接点”を創るのが『アクティブ アンド カンパニー』
ー株式会社アクティブ アンド カンパニーの企業理念とミッションをお聞かせください。
当社では、『躍動感溢れる未来を創造する』という企業理念を掲げています。
これは、企業と個人が共に成長していくことを目指すという想いに基づいています。先ほどもお話しした通り、その間に存在するギャップを埋めることで、組織としても個人としても大きく成長できる。私たちは、そうした成長を支援していきたいという想いで会社を運営しています。
ミッションとしては、大きく3つの柱があります。
- 可能性を開拓する
- 共存・共栄を支援する
- 成長機会を創出する
これらは、クライアント企業に対しても、そこで働く一人ひとりに対しても共通する考え方です。
その実現に向け、私たちができることとして『人事制度構築コンサルティング・教育研修・人事管理システム・アウトソーシング』といったサービスを展開しています。
社会のインフラとして『奨学金バンク』を育てていきたい
ー御社のサービス「奨学金バンク」の特徴についてお聞かせください。
『奨学金バンク』は、日本初の奨学金返済を支援するプラットフォームです。
奨学金を利用している方々の、経済的・心理的な負担を軽減し、個々のライフスタイルの変化や新しい挑戦に積極的に取り組むことができる社会を目指すために目的に、3つのサービスを展開しています。
1つ目は『奨学金返還型人材紹介サービス』です。奨学金返済中の方にご登録いただき、企業に人材としてご紹介することで紹介手数料をいただきます。そしてその手数料から、奨学金返済資金を拠出します。ご本人が直接返済するのではなく、奨学金バンクを通じて返済が行われる仕組みです。
2つ目は『奨学金返還支援サービス』です。企業の中には、従業員の1~2割が奨学金を返済しながら働いているケースが多くあります。たとえば従業員が100人いれば、そのうち10〜20人ほどが該当します。そうした従業員の奨学金返済を「福利厚生の一環として支援しませんか?」という提案も行っています。企業からお預かりした資金は信託銀行に預け、そこから奨学金の返済機関に直接支払いが行われます。
3つ目はSDGs文脈での『サステナ支援サービス』です。奨学金の返済支援は、「貧困をなくそう(目標1)」「質の高い教育をみんなに(目標4)」「働きがいも経済成長も(目標8)」「人や国の不平等をなくそう(目標10)」など、SDGsの複数の目標にも深く関わる取り組みです。そうした社会貢献活動を通じて、企業のブランディング支援も行っています。
この仕組みの特徴は、ご本人に現金が渡らず、直接奨学金機関へ返済が行われる点にあります。これによって、返還額に係る所得税は非課税となり、また、社会保険料の負担が発生せず、支援が“純粋に返還”に充てられる仕組みが実現できているんです。
奨学金バンクのこういった取り組みは、国内唯一のモデルです。少しでも多くの方にご活用いただきたいという思いで、取り組みを広げているところです。
ー「奨学金バンク」の認知拡大において、特に力を入れたアプローチとは何でしょうか?
認知拡大に向けた取り組みとして、大きく3つのアプローチを行っています。
1つ目は、SNSなどを活用した情報発信です。私自身が日々SNSを通じて、奨学金の課題や向き合い方をはじめ、『奨学金バンク』を立ち上げる過程や取り組みの背景を発信し続けています。動画も活用しながら、多くの人に奨学金のリアルを知っていただき、情報の塊を作っているところです。
2つ目は、行政・公的機関との連携です。『奨学金バンク』は、「社会に必要なインフラ」として育てていくべきものだと考えています。文部科学省や日本学生支援機構とも協力体制を築いて、ご理解をいただいたうえで取り組みを進めているところです。資金管理においても、三井住友信託銀行と提携し、私たちが直接管理するのではなく、信託を通じて日本学生支援機構の財産として公正に管理・運用する仕組みを整えています。こうした信頼性と透明性こそ、社会的な認知につながっていく要素だと思います。
3つ目は、「人のためになるか」を徹底したサービス設計です。「どうすれば事業として儲かるか」ではなく、「本当に人の役に立つのか?人を幸せにできるのか?」を最優先に考えて設計しました。奨学金で困っている若者たちにとって本当に意味のある支援ができるのか。企業の人材確保や定着にどう貢献できるのか。そういった本質的な部分を突き詰めた結果、多くの方が共感し、自発的に周りに紹介してくれるようになったんです。
「今すぐは使わないけど、すごく良い仕組みだから紹介しておくね!」と言ってくださる方も多くて、いわゆるバズマーケティング的な広がりが生まれているのを実感しています。
「奨学金で悩む人を助けたい」「人材を必要とする企業を支えたい」「日本学生支援機構の取り組みを後押ししたい」――そうした思いに共感してくださる方々が、自然と応援してくれている。それが『奨学金バンク』の認知拡大につながっていると思います。
”リカレント教育”の可能性と未来の道筋

ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
最近、奨学金の返済支援を通じて感じているのは、社会人の学び直しに関することですね。
昔は学びのサイクルが小中高大で終わって修了という流れでしたが、今は社会に出たあとに大学院に戻る人も増えています。ただ、実際に戻りたくても、簡単にはいかないんですよね。お金の問題もあるし、学校に通いながらどう働くのか、企業側も労働力が抜けると困ってしまうし、課題が多いと思います。
「働きながら学ぶ」といっても、eラーニングや社内研修ではなく、「学問を大学で学ぶ」という話です。でも、そういう学び方は、制度やモデルが確立されていない。そういった部分に対して、今後は何かしらの解決策を打てるんじゃないか、むしろ打つ必要性があるんじゃないかと感じています。
たとえば最近は、成人年齢が18歳に引き下げられましたよね。それだけ精神的な成熟が早まっているということでもあるし、学校教育そのものも、次のレベルが求められているように思うんです。
また、日本の大学院においては「博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生である」という話もあります。日本人があまり進学していないという現状を考えると、社会人がもう一度学びに戻る仕組みって、もっとあっていいんじゃないかなと。これは20代、30代に限った話じゃなくて、40代、50代の人がセカンドキャリアのために学び直すというのも十分ある話だと思うんです。
そういう新しい発想が広がっていけば、学びのサイクルが深まり、働く期間も延び、本当の意味でのリスキリングや大学の存続につながっていく。 そして学ぶ人が増えれば奨学金の需要も減ることはないので、返済の仕組みづくりは今後ますます重要になると思っています。
そういった背景も含めて、これからは社会人教育の分野にもっと関わっていきたいと考えています。
今日は”今までの結果”。明日は”今が創る”
ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
大事にしていることは、諦めないこと、できるように物事を考えることです。
また、「今日は今までの結果、明日は今がつくる」という言葉は、自分でもよく口にしますし、大事な考え方だと思っています。
もし今日が幸せだとしたら、それはこれまでの自分の積み重ねのおかげ。逆に、今日が不幸だと感じるなら、それも今までの結果です。だからこそ、明日を幸せにしたいなら、“今”をしっかり頑張るしかない。今頑張れない人は、明日もまたうまくいかないんじゃないか――そう思っています。
やっぱり経営って思い通りにいかないことも多いので、そこで諦めてしまったら終わりなんです。何か壁にぶつかっても、諦めずに物事を考えること。その姿勢はずっと大事にしてきました。
ー組織と社員の成長を促すために心がけていることはありますか?
諦めない姿勢は、コンサルタントとしての基本のマインドセットだと考えていますし、メンバーにも徹底させています。
クライアント企業は、企業の中で解決することができないことをコンサル会社に依頼します。「難しいし、面倒で、時間もかかりそうで、どうしたらいいのかわからない」――そんな課題だからこそ、コンサル会社に助けを求めるんです。
それなのにコンサル会社が諦めてしまったら、誰もその問題を解決することができませんよね。ですから、諦めてしまう人はそもそもコンサルティングに向いていないと思います。
もう一つ大切にしているのは、「不可能」という言葉を使わないことです。不可能という言葉が大嫌いなんです。というのも、不可能って言った瞬間に思考が止まってしまうんですよね。
あなたはそれを「不可能だ」と言うけど、どこまでのことを知った上で言っているのか? 地球の裏側では、それを実現している人がいるかもしれないんですよ。だから私は常に、「どうやったらできるの?」「何が整えばできると思う?」と自分に問いかけるようにしています。
社内でも、誰かが「難しい」と言ったときに、「状況はよくわかった。じゃあ、どうすれば実現できると思う?」と聞き返すようにしています。できない理由を並べるのではなく、できる道を一緒に考えることが大切だと思っています。最終的には「できると思い続けることが、できることにつながる」と本気で信じています。
だから、「諦めないこと」と「不可能はない」という、この2つの姿勢を常に大切にし、何があってもブレずに言い続けています。
ー株式会社アクティブ アンド カンパニーとご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
アクティブ アンド カンパニーは、常に『成長志向』です。「このくらいの規模で十分」「少数精鋭のプロフェッショナル集団で良い」といった考え方もよく耳にしますが、私自身は全くそう思っていません。会社は成長を止めるべきではないと考えています。
また、事業領域は、『組織・人事・人材』という領域から外に出るつもりはありません。なぜなら、この分野にはまだまだ解決されていない課題が山ほどあるからです。最近取り組んでいる『奨学金バンク』もその一つです。
人材業界は70年ぐらいの歴史がありますが、今もなお見落とされている課題が存在します。「飽きたから他のことをやる」のではなく、この中にある課題を見つけて、解決していくことを徹底的にやっていけるか。それが世の中にとって価値のあることであり、私たちが持つ知見や経験を最大限に活かせることだと思っています。
当社のコーポレートアイデンティティとして、『伝統になる革新を、いまから。』という言葉があります。伝統は古くさいものだけではなく、大事に守っていくべきものでもありますよね。でも、それだけでは時代に取り残されてしまう。だからこそ、大事なものを守りながら、会社として変化・変容を恐れずに挑戦することが必要なんです。
コンサルティングだけでなく、HRテックといった新しい市場にも積極的に取り組んでいますし、誰も気づかなかったような奨学金の課題にも“人”という切り口から解決を目指しています。常に、マーケットやクライアント企業をアップデートしていくことができる会社でありたいと思っています。
“経験”こそ経営者の財産。誰にも見れない景色がそこにある

ー経営者になって良かったと思えたことをお聞かせください。
「多くの人が経験できないことを経験していること」だと思っています。これまで当社では通算で何億という資金を動かしてきましたし、資金調達もしてきました。 ありがたいことに、私自身の発言や活動をメディアに取り上げていただく機会もあります。こんな経験って誰でもできるわけじゃないですよね。
こうした経験を積むことで、ものすごく大きな学びがありますし、世界がどんどん広がっていくのを実感します。 今までだったら出会えなかったような方たちと出会う機会も増えますし、新しい世界と接点を持てるのは本当に貴重なことです。
経営者だからこそ見える景色があって、そこに大きなやりがいや面白さを感じています。
ー経営者を目指す上で大切な要素とは何でしょうか?
絶対に欠かせないのは「諦めない」という姿勢です。そして「不可能だと思わないこと」、「常に学び続けること」も経営者を目指す上で大切な要素です。
結局、動き出さなければ何も始まりません。逆に言えば、これが一つでも欠けていたら、経営者としては厳しいんじゃないかなという感覚です。諦める経営者のもとで働きたい社員なんて、きっといないですよね。だからこそ、しつこいぐらいに「やりきろうとする姿勢」を持っている人だけが、組織を前に進められると思うんです。
そしてもう一つ大事なのは、「会計がわかること」です。これは感覚じゃなくて、「本当にわかっていないと話にならない」と思っています。決算書が読めない、仕分けができない、月次決算が締められない――そんな状態で経営なんてできないはずです。
資金調達、銀行交渉、企業価値評価……など、どれもベースには会計の理解が必要です。もちろん、細かいことは専門家に相談すれば良いですが、それ以前に、「何を聞けばいいのか」「どんな選択肢があるのか」を理解していないと、正しく判断することすらできないと思います。
最低限の会計知識は、経営を担う人間として必須だと考えています。
“善悪”で物事を判断すれば、自然と応援してくれる人が集まる
ー起業を目指している読者にメッセージをお願いします
これから起業を目指すなら、「世の中にとって良いことかどうか」を考えて事業をしてください。
良い事業であれば、いつか自分自身を助けてくれる存在になると思うんです。損得や勝ち負けで物事を判断してしまうと、どこかで道を踏み外す可能性があります。
だからこそ、いつでも“善悪”で考えること。そこからブレなければ、あなたを応援してくれる人たちが自然と集まり、助けになってくれるでしょう。
起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!

起業には個人事業主としての開業と会社設立の2種類があり、事業形態に合わせて選ぶことが大切です。また、起業のアイデアをまとめたり、事業計画書を作成したりといった起業の流れを把握し、十分な準備を整えるようにしてください。
一度起業すると、資金や従業員の管理、納税など多くの責任を負わなければなりません。過去の成功事例も参考にしながら、自分なりのビジネスを展開できるよう起業アイデアを練ってみましょう。
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