1. 起業の窓口マガジン
  2. 会社設立・法人化の記事一覧
  3. LLCとは?株式会社との違いやメリット、設立方法を徹底解説
会社設立・法人化

LLCとは?株式会社との違いやメリット、設立方法を徹底解説

LLCとは?株式会社との違いやメリット、設立方法を徹底解説

LLCとは、日本における合同会社であり、社員が出資者と経営者の両方を担うのが特徴です。しかし、名前は聞いたことがあってもLLCの具体的な概要は知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで、こちらではLLCと株式会社の違いや設立方法などを解説します。これからLLCの設立を検討している方に役立つ情報を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

LLCとは

LLCとは

LLCとは「Limited Liability Company」の略称であり、日本における合同会社のことを指します。以下文中でもLLC=合同会社として説明します。

LLCは2006年にスタートした新会社法にて新たな会社形態として制定されました。もともとは主にアメリカやヨーロッパで取り入れられていた会社形態ということもあり、日本では外資系を中心にLLCを導入するケースが増加しています。

LLCと株式会社の違い

LLCと株式会社の違い

株式会社とは、株の発行によって得た資金を元に事業を行う形態を指します。LLCとの違いは、会社の経営者と所有者が同じであるか否かという点がポイントです。

株式会社の所有者は株主であり、株主によって選出された取締役が経営を担います。一方で、LLCは出資した社員が所有と経営の両方を担うのが特徴です。また、株式会社には役員の任期がありますが、LLCには任期がありません。さらに、株式会社は決算公告が必須なのに対してLLCは決算広告の必要がないのも違いです。

LLCのメリット

LLCのメリット

LLCのメリットは、主に5つあります。

  • 会社設立に関するコストが低い
  • 会社設立の手続きが簡単
  • 経費削減になる
  • 自由度の高い経営ができる
  • 決算の公表義務がない

それぞれの利点を活かせば、スムーズな事業運営に繋げられます。各項目の詳細は後述していますので、会社形態を決める際に役立ててください。

会社設立に関するコストが低い

株式会社の設立には、登記費用などで20~25万円ほどかかるといわれています。一方でLLCを設立する場合の費用は6~10万円ほどです。設立費用を抑えられる分、事業運営に資金を回せるためローコストで会社を作りたいときに適しています。

会社設立の手続きが簡単

LLCの定款(会社の規則を定めたもの)には、株式会社のような株主構成や株式の譲渡制限、機関設計などを記載する必要がないので、比較的簡単に登記に必要な資料を作成できます。

さらに、LLCの定款に認証は不要です。認証とは公証人に正式な定款として認めてもらうことで、公証役場で手続きを行わなければなりません。定款認証が不要であれば公証役場へ出向く必要はなく、登記申請に必要な書類を作成したらすぐに法務局へ申請できるため、手続きの手間を減らせます。

経費削減になる

役員登記にかかる税金を抑えられるのも、LLCのメリットです。株式会社とLLCでは、税制面や節税対策に違いはありません。しかし、LLCの方が会社設立時に必要な経費が少なく、その分だけ経費削減が可能です。

株式会社では役員の任期が設けられており、任期が切れると再登記が必要となります。資本金によって異なりますが、登記費用は3〜5万円ほどかかるといわれており、司法書士に依頼するとさらに費用はかさむでしょう。役員の任期が定められていないLLCなら、再登記にかかる費用を削減できます。

自由度の高い経営ができる

株式会社では、会社の重要な項目を決める際に株主総会による承認が必要です。一方で、LLCは所有者と経営者が同一であるため、迅速に意思決定ができます。迅速に経営判断を下せるため、スムーズな事業運営に繋げられるでしょう。

また、出資比率に関係なく利益配分できますので、優秀な社員には配分率を高めるなどの経営判断を下せるのもLLCの利点です。

決算の公表義務がない

前述の通り、LLCには決算を公告する義務がありません。決算公告に関わる面倒な手続きや公告掲載に必要な費用を負担する必要はなく、事業に集中できます。

ただし、吸収合併を始めとした組織の変更や資本金の減少などでは公告の義務があるため注意してください。

LLCのデメリット

LLCのデメリット

続いては、4つのデメリットをチェックしましょう。

  • 認知度が低く、信頼性に乏しい場合がある
  • 資金調達方法が限られる
  • 社内対立が起きる可能性がある
  • 上場できない

会社形態を決める際は、メリットだけでなくデメリットも把握することが大切です。どのような点に気を付けるべきか確認し、会社設立に役立ててください。

認知度が低く、信頼性に乏しい場合がある

LLCは日本に導入されてから日が浅いため認知度が低く、株式会社と比べて信頼性に劣る場合があります。認知度が低いと取引先から「よくわからない会社形態だから信頼できない」と思われる可能性があるのに加え、企業によっては株式会社以外との取引を禁じているケースもあるので注意が必要です。

会社の信頼性向上のため、取引先との密なコミュニケーションが求められるでしょう。

資金調達方法が限られる

株式会社は、認知度が高まれば株の売買によって幅広く資金を集められます。一方でLLCには株が存在しないため、株式会社のように大規模な資金調達は見込めません。社員の増資、国・自治体の補助金や助成金、金融機関からの融資といった資金調達方法に限られます。

そのため、LLCだと多くの資金を準備して大きく事業を展開するのが困難になる場合もあるでしょう。起業前に十分な資金を確保し、問題なく事業が進められる体制を整えることが大切です。

社内対立が起きる可能性がある

LLCは、出資比率に関わらず利益配分を決められます。多く出資したにも関わらず利益配分が少ない場合、社員に不満が残りトラブルに発展する可能性があります。

また、会社の意思決定には会社法や定款に別段の定めがない限り全社員の同意が必要です。社員同士で意見の相違があると経営判断に滞りが発生し、事業運営が鈍化する原因になるでしょう。定期的に社員の意見を聞き、不満を解消しながら対立を回避する工夫が求められます。

上場できない

LLCは取引所に上場できないため、知名度を高めるのは難しいといわれています。「会社の名前を世間に知ってもらいたい」と考えている場合は、上場によって知名度を高められる株式会社を選択するのも1つの方法です。

LLCの設立方法

LLCの設立方法

続いては、LLCを設立する際の基本的な方法を解説します。設立の流れを把握し、滞りなく手続きを終えられるようにしましょう。

LLCの設立に必要な費用

LLCを設立するまでには、定款の作成費用と登記費用が発生します。定款の作成費用は紙の定款と電子定款で異なり、紙の定款では印紙代が追加で必要です。登記費用は資本金×0.7%ですが、この合計額が6万円未満の場合は一律6万円になります。ここでは、登記費用が6万円だった場合の費用を紹介しますので、目安として参考にしてください。

【設立までにかかる費用】

紙の定款の場合:印紙代(4万円)+定款の謄本代(約2,000円)+登記費用(6万円)=約10万2,000円

電子定款の場合:定款の謄本代(約2,000円)+登記費用(6万円)=約6万2,000円

会社を設立した後は、法人税や法人住民税、法人事業税、消費税、社会保険料といった費用が発生します。税額は資本金や所得などで異なりますので、あらかじめ確認のうえ、滞りなく費用を準備しておきましょう。

LLCを設立する流れ

LLCを設立する基本の流れは、以下の通りです。

  1. 会社の基本項目を設定する
  2. 定款を作成する
  3. 登記書類を作成する
  4. 登録申請を行う
  5. その他、必要な手続きを行う

各項目の詳細を確認し、会社設立に必要な手続きを行いましょう。

1.会社の基本項目を設定する

会社の基本項目は、定款にも記載する必要があります。会社名など、今後の事業運営に影響を与える基本的な情報を決めることになりますので、社員同士で意思疎通を図りながら決めていくのが大切です。

以下は会社の基本項目一覧になります。

基本項目 詳細
称号(会社名) 既にある会社と被らない名称が望ましいとされています。商号が被っていないか確かめる際には、法人番号検索サイトなどを利用します。
事業目的 現時点だけでなく将来的に行う予定のある事業も含めて決めておきます。
本店所在地 会社の所在地を決めます。
資本金 基本金1円から会社の設立が可能です。ただし、資本金は会社の信用度にも影響を与えるため、総合的に考えたうえで決めてください。
社員の構成 代表社員と業務執行社員を決めます。代表社員とは、株式会社における代表取締役のことです。混乱を避けるため、代表社員は1名のみにする場合が多いといわれています。
事業年度 何月に決算を行うか決めます。

2.定款を作成する

上記で定めた基本項目を元に、定款を作成します。

定款の必要事項は以下のとおりです。

  • 商号(会社名)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 社員の氏名と住所
  • 社員の出資の目的とその価額
  • 全社員が有限責任社員であることの定め

上記は、定款に必ず記載する必要がある項目です。この他に、会社のルールとして定めておきたいことがある場合は相対的記載事項として記入します。

相対的記載事項の例は以下のとおりです。

  • 代表社員の定め(代表社員が複数いる場合)
  • 社員の退社に関する定め(出資金額の払い戻しなどに関する規定)
  • 会社の存続期間(期間を区切って事業を行う場合)
  • 利益の配当に関わる事項(出資金額に関わらず自由に定められる)

など

上記で定めた事項を紙もしくは電子媒体でまとめます。電子定款の場合、電子署名ソフト・マイナンバーカード・ICカードリーダー・電子署名プラグインソフトが必要なため、事前に用意してください。

3.登記書類を作成する

法務局に提出するための登記書類を作成します。必要な書類一覧は、以下の通りです。

書類 詳細 取得場所
会社設立登記申請書 法務局へ登記申請をするための書類です。「商号」「本店」「登記の事由」「登記すべき事項」「課税標準金額(資本金)」「登録免許税」「納付書類」「日付」「申請人の詳細」などを記載します 法務局のHPにて申請書のテンプレートのダウンロード可能
定款 上記の手順で作成したものを提出 紙媒体もしくは電子にて自分で作成
印鑑届出書 会社の実印を登録するための書類 法務局の窓口で取得もしくは法務局のHPにてテンプレートのダウンロード可能
社員の印鑑登録証明書 書類の印鑑が本物であることを示す証明書 各自治体の窓口
払込証明書 資本金の払い込みを証明する書面 自分で作成
本店所在地決定書 定款で「本店所在地の詳細な住所」を定めていない場合に必要な書面 自分で作成
代表社員就任承諾書 定款で設立時の代表社員が定められている、代表社員として定款の末尾に実印の記名押印している場合は不要 自分で作成
登記用紙と同一の用紙 登記簿謄本に記載する事項を記入した書面
専用のOCR用紙もしくは記録媒体にテキストファイルで保存して提出
法務局のHPにてテンプレートのダウンロード可能
収入印紙 紙の定款の場合に必要 法務局や郵便局など

必要な書類が集まったら、申請書をまとめます。まずは、登記申請書と収入印紙を貼り付けた台紙の順番で重ね、ホチキスを使って左綴じにしてください。見開きには、会社の実印を入れます。払込証明書に会社の実印を入れた後、資本金の払い込みを行った通帳のコピーを重ねてホチキスで綴じましょう。この書面にも見開きに会社実印を入れます。最後に、以下の順番で書面を綴じたら完成です。

申請書を綴じる順番は以下になります。

  1. 登記申請書
  2. 本店所在地決定書(必要な場合)
  3. 代表社員の就任承諾書(必要な場合)
  4. 代表社員の印鑑証明書
  5. 払込証明書

4.登録申請を行う

まとめておいた登記申請書や定款、印鑑届出書などを管轄の法務局の窓口に提出します。窓口に表示された登記申請の完了予定日までに補正に関する連絡がなければ、申請の完了です。なお、申請が完了したことを知らせる連絡はありません。

5.その他、必要な手続きを行う

その他には、以下のような手続きを行います。抜け漏れがないように確認しておきましょう。

その他の必要な手続き一覧は以下のとおりです。

手続き 申請方法 必要書類 詳細
法人設立届 都道府県税事務所、市区町村役場、税務署に提出 都道府県税事務所と市区町村役場:設立届、定款の写し、登記事項証明書
税務署:設立届、定款の写し、登記事項証明書、社員等の名簿・設立時の貸借対照表
都道府県税事務所と市区町村役場は設立後1ヶ月以内、税務署は設立後2ヶ月以内に提出
給与支払事務所等の開設届出書 税務署へ提出 給与支払事務所等の開設届出書 事業所開設後1ヶ月以内に提出
労災保険への加入 労働基準監督署へ提出 労働関係設立届、労働保険概算保険料申告書、履歴事項全部証明書 従業員が入社をした翌日から10日以内に提出
雇用保険への加入 ハローワークへ提出 雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届、労働関係設立届(控)、労働保険概算保険料申告書(控)、履歴事項全部証明書、労働者名簿 従業員が入社をした翌日から10日以内に提出
社会保険への加入 年金事務所へ提出 健康保険・厚生年金保険新規適用届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、健康保険被扶養者(異動)届 新たに従業員を採用した日から5日以内

LLCに関するよくある質問

LLCに関するよくある質問

LLC設立にあたっては、疑問に感じることもたくさんあるのではないでしょうか。ここからはよくある質問と回答を紹介しますので、会社設立に役立ててみてください。

Q.LLCと株式会社どちらを選ぶべき?

LLCと株式会社のどちらにすべきかについては、事業の目的によって異なります。例えば、株式で大規模な資金調達を行いたいときや、将来的に上場して知名度を高めたいときは株式会社がおすすめです。

大きな資金調達を必要とせず、少額で法人化したいと考えている場合にはLLCが適しています。どのように事業を運営していくのか、将来のことも考慮に入れて考えたうえで決めてみてください。

Q. LLCに向いている業種はある?

食品メーカーやコスメメーカー、飲食店など消費者を対象とした小売業やサービス業、IT関連業は、会社の形態より商品・サービスの質や認知度が重要視されます。企業を対象とした事業と比べて会社形態を気にせずに済むため、LLCに向いているといえるでしょう。

Q. LLCから株式会社に変更はできる?

LLCから株式会社への変更は可能です。組織変更には2ヶ月ほどかかるため、計画を立てたうえで手続きを行うようにしてください。

まとめ

まとめ

LLCは、株式会社より低コストかつ簡単な手続きで設立できるのが特徴です。会社の所有者と経営者が同じなため、スピーディーな意思決定と自由な事業運営が可能になります。ただし、株式会社と比べて信用度が劣ることや、資金の調達方法が限られる点には注意が必要です。LLCのよい点・懸念点を把握したうえで、会社の形態を決めてみてください。

起業の窓口」では、開業などに必要なサポートサービスが全てそろっています。会員登録無料でレンタルサーバーや電子契約サービス、無料起業相談などのサービスを受けられるため、どの起業サービスを利用するか迷っている方はぜひ役立ててみてはいかがでしょうか。

記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
  • facebook
  • twitter

関連記事