法人登記はオンラインでも可能!メリットや申請の流れを紹介
法人登記は会社設立の重要なステップの一つです。
中には、「法務局に出向くのは時間がかかる」「なるべく手間をかけずに法人登記したい」と思う方もいらっしゃるでしょう。近年はオンラインで登記申請ができる環境が整い、書類提出から税金の納付まで自宅やオフィスから完結できます。
また、オンライン申請は、移動時間や窓口待ちを省いて進捗もリアルタイムで確認できるため、大きなメリットがあります。
この記事では、法人登記をオンラインで行う際の基本的な仕組みやメリット、注意点、そして実際の申請手順について詳しく紹介します。
- 【この記事のまとめ】
- 法人登記はオンライン申請が可能で、法務局に出向かず自宅やオフィスから手続きが完結します。申請状況もリアルタイムで確認できます。
- オンライン申請のメリットは、手間削減や進捗確認、登記完了までのスピード向上です。電子証明書やPDF化などの準備が整えば効率的に進められます。
- 注意点は、すべて自分で手続きする必要があり、書類不備や補正の指示で申請が却下される可能性があることです。専門家や起業の窓口の活用が推奨されます。
【重要】法人登記のオンライン申請とは

法人登記のオンライン申請とは、法務局に出向かずにインターネット上で会社設立の登記手続きを行える仕組みです。
法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を利用し、必要書類を電子データとして作成・送信することで申請が完結します。
本人確認や電子署名の付与が求められるものの、紙の書類を郵送したり窓口で提出したりする手間が省けるのが特徴です。また、受付状況や補正指示などをオンラインで確認できるため、手続きの透明性が高まるメリットもあります。
パソコンやマイナンバーカードなどの準備は必要ですが、正しく手順を踏めば、スムーズに登記を完了できます。
法人登記をオンライン申請するメリット

法人登記をオンライン申請する最大の魅力は、場所や時間に縛られず手続きを進められる点です。
ここでは、オンライン申請ならではの具体的なメリットを3つの視点から解説します。
手間がかからない
オンライン申請は、法務局へ直接出向く必要がなく、移動や窓口での待ち時間が発生しないメリットがあります。
パソコンとインターネット環境、そして電子証明書があれば、自宅やオフィスから24時間いつでも申請書類を作成できます。これにより、業務の合間や夜間など、自分の都合に合わせた手続きが可能です。
また、添付書類や証明書もオンラインでアップロードできるため、紙書類の印刷や郵送といった作業も不要です。
事前準備として電子署名や利用環境設定は必要ですが、一度整えれば、次回以降の申請もスムーズに行うことができます。
申請状況を常に確認できる
オンライン申請のメリットは、法務省の「登記ねっと」上で申請状況をリアルタイムに確認できることです。
受付完了、審査中、補正の必要といったステータスがリアルタイムで反映されるため、これらの情報を得るまでの時間が大幅に短縮されます。進捗が明確化されることにより、次の行動を計画しやすくなり、業務の優先度調整も容易になります。
また、補正や追加資料の要請があった場合、その場で修正して再送できることも魅力です。
さらに、過去の申請履歴や添付ファイルの確認も簡単にでき、誤りや漏れを防ぐための自己チェックにも活用できます。
登記完了までのスピードが早い
法人登記をオンライン申請するメリットは、登記完了までのスピードが圧倒的に早いことです。
従来の窓口申請や郵送申請では、完了までに数日から数週間かかることも珍しくありません。しかし、完全オンライン申請を利用した場合、条件を満たせば原則24時間以内の処理が可能です。
出典:法務省「完全オンライン申請による法人設立登記の「24時間以内処理」について」
これにより、会社設立の準備や他の業務を効率的に進めることができ、事業開始までにかかる時間を大幅に短縮できます。また、法務局への移動や窓口での待ち時間も不要なため、時間や交通費の削減にもつながります。
さらに、夜間や自宅・出先からでも申請可能で、申請状況もオンライン上で確認できるなど利便性も高いです。
法人登記をオンライン申請する注意点

法人登記をオンライン申請する際は、窓口申請と異なる注意点がいくつかあります。
ここでは、代表的な注意点や意識すべきポイントを解説します。
すべて自分で対応する必要がある
オンラインによる登記申請は、全行程を自分で対応しなければならない点に注意が必要です。
具体的には、書類作成から電子署名、添付ファイルの形式確認、電子証明書の取得や申請システム操作まで行う必要があります。窓口申請と異なり担当者が常に内容を確認してくれるわけではなく、不明点が生じた際にも自身で調べなければなりません。
ただし、司法書士などの専門家を利用すれば、書類作成やシステム操作のサポートを受けることも可能です。
事前準備に手間がかかる
事前準備に手間がかかる点は、オンライン申請の注意点の一つです。
申請作業はオンラインで完結する一方、事前に多くの工程が必要となります。具体的には、代表者の実印に代わる本人確認の役割を果たす「商業登記用電子証明書」をあらかじめ取得しなければなりません。
また、株式会社の場合は公証役場で定款認証を受ける必要があり、オンライン定款認証を行う場合はテレビ会議による本人確認などの事前予約が必要です。
さらに、申請書や各種添付書類はすべてPDF化し、電子署名を付与しなければなりません。PDF書類は法務省の仕様に沿い、原寸スキャンやOCR化など、細かな要件があります。
このため、慣れていない場合は、システム操作方法や必要書類の仕様チェックなど、事前の段取りに多大な労力がかかる可能性があります。
補正や不備により登記申請が却下される場合がある
申請内容に補正や不備がある場合、オンラインによる法人登記申請は却下される点にも注意が必要です。
オンライン申請では、申請書や添付書類に記載ミスや書式不備、必要情報の抜け漏れがあると補正指示が入ります。指定された期日までに修正対応できなければ申請が却下され、事業開始予定が大幅に遅延する可能性もあります。
特に電子証明書や添付PDFの形式チェック、法人情報の正確な登録、納付漏れなどでミスが生じやすいため、事前確認が重要です。
【手順】法人登記のオンライン申請の流れ

法人登記をオンライン申請する際は、効率的に手続きを進めるためにも、手順を正しく把握しておく必要があります。
ここでは、オンライン申請の具体的な手順を順を追って解説します。
事前準備
オンライン申請を始めるにあたって、まずは事前準備を行いましょう。
以下にオンライン申請で必要となる事前準備の内容をまとめています。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 申請者ID | 取得・登録 | 事前登録を済ませる |
| OS/ブラウザ | 対応状況 | 最新ブラウザ推奨 |
| 電子署名 | 設定 | 有効期限・署名順序をチェック |
| 定款認証 | 電子化 | 認証機関の手続き確認 |
| ソフトウェア | 申請用総合ソフトのダウンロード | 公式サイトから正規版を入手 |
適切な環境やソフトウェアを整えたうえで、オンライン申請の手続きを進めていくことが大切です。
事前準備をしっかり行うことで申請のミスやトラブルを防ぎ、スムーズに法人設立を進められます。
必要書類の作成と用意
オンライン申請を滞りなく進めるためにも、申請に必要な書類をあらかじめ用意しましょう。
申請に必要となる主な書類は以下の通りです。
- 登記申請書(会社の基本情報を記載)
- 定款(公証役場で認証済みのもの)
- 発起人決定書・代表取締役の就任承諾書など役員関連書類
- 資本金払込証明書(出資金払込みの証明)
- 印鑑届出書および印鑑証明書
不備や記載ミスがあると、申請の補正や却下につながるため、内容に問題がないかも確認しましょう。
法人形態によっては、追加の書類が必要になる場合もあります。
添付書面情報の添付
法人設立登記をオンラインで申請する場合、添付書類もオンライン上で提出が可能です。
添付書類には事前に電子署名の付与が必要で、申請書様式ごとに必要な書類が異なります。申請時に「ファイル添付」を選択すると必須書類が表示されるため、それぞれ登録していきます。電子署名が付与された添付書類を送信すれば、別途書類を法務局に持参または郵送する必要はありません。
ただし、電子データ化できない書類がある場合は、該当書類を法務局に持参または郵送する必要があります。
その際は、オンライン申請の登録画面で「書面提出」のチェックボックスを選んで該当書類を登録しましょう。
申請データの送信
申請書情報と添付書面情報の準備が整ったら、申請書情報に電子署名を付与し、申請データの送信を行います。
オンライン申請システム上で対象の申請書情報を選択し、「送信」ボタンをクリックするだけで手続きが完了します。送信後は、申請状況に問題がないかや、申請一覧画面で「送信完了」と表示されるかを確認しましょう。
これにより、送信エラーや未送信などのトラブルを防ぐことができます。
申請受理の確認
申請を送信すると、法務局から受付通知が届き、これが申請が正式に受理された証明となります。
処理が進むごとに下記のボタンが表示されます。
| 処理状況 | 解説 |
|---|---|
| 処理状況 | 申請した案件の現在の処理状況が表示される |
| 到達 | 申請書情報が「登記・供託オンライン申請システム」上に到達したことを示す |
| 受付確認 | 法務局で申請が正式に受理されると表示されるボタン |
| 補正 | 申請書や添付書類に不備があった場合に表示されるボタン |
| お知らせ | 補正以外の重要なお知らせがある際に表示されるボタン |
| 納付 | 登録免許税などの電子納付状況や納付手続きを行うためのボタン |
申請一覧画面でステータスが「受理済み」や「受付完了」と表示されていることも確認ポイントです。受理後、法務局では書類の審査が行われ、問題がなければ登記が完了します。
受理から登記完了までは通常1週間から2週間程度かかり、混雑具合によってはさらに延びることもあります。
登録免許税の納付
法人設立登記をオンラインで申請する際の登録免許税の納付方法は、「電子納付」と「領収書または収入印紙による納付」の2パターンです。
電子納付を選ぶと、申請システム内の「納付」ボタンからe-Gov電子納付システムの電子納付ページに移動し、画面の指示に従うことで手続きや支払いを進められます。一方、領収書または収入印紙納付の場合は、納付用紙を印刷して必要事項を記入し、収入印紙を貼った用紙を法務局へ持参もしくは郵送します。
すべての手続きをオンラインで完結したい場合は電子納付が便利でおすすめです。
取り下げがあった場合の対応
登記申請に補正の指示があった場合は、法務局からの連絡内容に従い、申請書や添付書面の修正や追加情報の提供をオンライン申請システム上で行います。
書類の不備が軽微であれば、定められた期間内に補正を行えば再度手続きが進みます。しかし、期間内に対応できなかったり、重大な不備があった場合は申請が却下されるため注意が必要です。
なお、申請者は申請自体の取り下げも可能で、オンラインまたは書面での提出が認められています。
取り下げを希望する際は速やかに手続きを行い、法務局へ連絡のうえ「取下書」の提出を行います。
【結論】法人登記はオンライン申請が便利

法人登記はオンライン申請を利用することで、窓口申請に比べて大幅に手間を削減できるため便利です。
法務局に直接出向く必要がなく、インターネット環境があれば自宅やオフィス、外出先からでも手続きできます。夜間や休日でも申請できるため、忙しい経営者にとって大きな利点です。さらに、申請状況や審査の進捗をオンライン上でリアルタイムに確認できるため、不備や補正の指示にも迅速に対応できます。
また、オンライン申請は条件を満たせば原則24時間以内に登記が完了することもあり、スピーディーな会社設立が期待できます。
電子定款を利用すれば収入印紙代を節約でき、交通費や郵送費の削減につながるのも魅力です。
一方で電子署名や書類作成などの事前準備が必要です。
慣れないうちは操作に戸惑うこともありますが、専門家のサポートを受けることで、手続きを効率化できます。
法人登記なら起業の窓口へ
法人登記の手続きは複雑で多くの書類準備が必要ですが、起業の窓口を利用すれば、サポートを受けながらスムーズに進められます。
起業の窓口は、法人設立の申請書類の作成支援や必要書類のチェック、電子署名の取得方法、オンラインシステムの利用手順などをわかりやすく案内します。初めての方でも迷わず手続きを進められるよう、専門スタッフのサポートを受けることも可能です。
また、オンライン申請との連携もサポート範囲に含まれ、申請の進捗確認や補正対応、登録免許税の納付方法まで一貫した支援が受けられます。
起業の窓口を活用することで、申請ミスや不備による却下のリスクを減らし、スムーズな法人設立を実現できますので、まずはお気軽にご相談ください。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修または独自調査(アンケート)に基づいて制作したものです。
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